ピアノのある生活、ピアノと歩む人生

「ピアチェーレ」代表の私的ブログ

アイドル路線とフォーク 

 

よしだたくろう=フォーク、天地真理=アイドル、このような仕分けが成り立つのだとしたら、この曲の歌唱は天地真理の意外な面・・・ということになるのかもしれない。アルバムではフォーク系の曲をよく歌っていた。これが実にいい感じのように思えるのだ。

アイドル路線、メルヘン路線のシングルカットされたヒット曲と比較すると、どこか生き生きと歌っているように感じるのは気のせいか?

オリコン1位・・・でなくてもよかったのに。オリコン最高位30位程度でも、このようなフォーク路線を全うしていれば、天地真理はもう少し息の長い歌手生活だったのかもしれない。デビュー当時は、ギターを抱えて・・・のようなフォーク路線も垣間見せていた。時代がそれを許さなかったのか・・・

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恋する夏の日 

 

天地真理の全盛期の楽曲

水色の恋(デビュー曲) オリコン3位
小さな恋 オリコン1位
ひとりじゃないの オリコン1位
虹をわたって オリコン1位
ふたりの日曜日 オリコン3位
若葉のささやき オリコン1位
恋する夏の日 オリコン1位

順に並べてみると以上のようになる。7曲のうち、4曲が森田公一の作曲で、すべてがオリコン1位となっている。当時の天地真理の楽曲については作詞も含め、制約があったようだ。それは清純派のイメージを決して崩してはいけないという制約。メルヘン歌謡とでもいうべき世界という制約があった。そこには失恋とか、嫉妬とか、そのような要素を微塵も感じさせてはならない。

考えてみれば当然ではあるのだ。天地真理はアイドルだったのだから。このあたりが非常に「昭和」というものを感じさせるところでもある。全盛期の天地真理、小学生から大人まで、特定の、真理ちゃんコールを叫ぶ男性ファンだけではなく、幅広い層からの支持があったらしい。当時、天地真理の名前を冠したテレビ番組が19時というゴールデンタイムに放送されていた。高視聴率をマークし、3年ほど続いた。この真理ちゃん番組を多くの小学生も観ていたらしい。「真理ちゃん、可愛い!」小学生から20歳過ぎの女性が可愛いと言われる、そのようなことを求められていた、まさに昭和だな・・・と。

天地真理の代表曲といえば、やはりこの曲なのだろう。売り上げとしては最高のセールスという曲ではない。その事実が意外と感じるほど、天地真理といえばこの曲を連想する人は多いだろう。僕ぐらいの年代の人だったら、振り付きで歌える人、多いかもしれないね。

もう、イントロからして「勢いのあるアイドル」にしか歌わせないという意思(?)を感じさせる曲。森田公一は、そのあたりを強調するのが、実に巧みだったように思う。

でも、この「勢いのあるアイドル路線」というものが歌っている本人もビックリ・・・というほどに成功してしまった。まさにここが、その後の天地真理の路線を難しくしてしまったところでもあるのではないか?

シングルではなく、アルバムでの天地真理、アイドル路線GOGO(?)の頃、いや、デビューアルバムから、実はフォーク系の曲を沢山歌っている。天地真理本人はフォークが好きだったのではないかと思う。ギターを抱えて・・・の世界。森山良子とかチェリッシュのような世界。でもそれはアルバムでしか許されない世界でもあった。天地真理はアイドルになってしまったのだから。

この曲は、そのような意味で僕には、ちょっと切ない曲でもある。天地真理は本当にこの曲を歌いたくて歌っていたのかな・・・と。

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昭和の白雪姫 

 

渡辺真知子が「迷い道」で鮮烈なるデビューをした頃、僕は地元の駅前にあるレコード店で天地真理のレコードを買おうかどうか、迷っていた。

天地真理、その頃は人気も下火になっていたのではないだろうか?彼女のレコードを買うということが、なんだか時代遅れのような、そんな気もしたし、友達にも「天地真理いいよね?」なんて決して言えなかった雰囲気もその頃にはあった。1976年頃だったと記憶している。

数年前には絶大なる人気を誇っていた天地真理、トップアイドルの座は、山口百恵とか、あるいはピンクレディーなどに奪われていたような気がする。全盛期の天地真理、実は、あまり僕の記憶にはない。彼女の全盛期に「真理ちゃ~ん」と真理ちゃんコールをする世代でもなかった。小学校の低学年だったしね。でもヒット曲は自然に耳には入ってきた。歌番組全盛時代だったし、天地真理の活躍は、歌手としての領域を超えたものでもあったし。当時の彼女は「アイドル」だった。元祖アイドル・・・

「歌、下手ねぇ・・・」「可愛いけどそれだけで歌手とは言えないよね~」全盛期の天地真理に対しては、歌が下手という評価もあったように思う。両親などもそう言っていたし。たしかに美空ひばりとか、ちあきなおみのような、聴く人を唸らせてしまうような上手さは当時も今も天地真理の歌声からは感じない。それはそうなのだが、でも「下手ね~」なのだろうか?

アイドルとは歌ではなく、ルックスで売れるという思い込み、それが僕にあったように思う。遅ればせながら、「えっ?そんなに下手?でもいいなと思ったんだけど・・・」と初めて自主的疑問(?)を感じたのが1976年当時の天地真理を偶然テレビか何かで聴いた時なのだ。

天地真理のファンと僕は言えるのか?全盛期のヒット曲、知ってはいるが、そこは素通りしてしまっているので、ファンとは言えない。でも一般的には落ち目とされている頃、筒美京平が曲を提供するようになった頃の天地真理には、どこか惹かれたりもする。独特のファルセットによる歌声、それは天地真理にしかない歌世界のような気もする。そのような魅力を感じているという意味では、遅れてきたファン・・・とも言えるような気はする。

人気絶頂期の天地真理、今聴き返してみても、正直「なんて下手なの・・・」とは感じない。この曲は美空ひばりでも、ちあきなおみでも似合わない歌世界なのではないかと思う。天地真理の世界。

「ひとりじゃないの」は1972年のヒット曲と記憶している。素通りして聴いていた頃は、周囲の大人たちの評価をそのまま信じていた。「歌が下手な人」と。

天地真理、母子家庭・・・なんですね。女手一つで私立の中学、高校と通わせた。国立音楽大学の付属で、ピアノ専攻だったようだ。おそらく、ピアノ教師になれば、女一人でも生きていけると母親は思ったのかもしれない。たしかにそんな時代でもあった。でも金銭的に大変だっただろうな・・・と思う。

50歳以上の年代の人、天地真理のファンではなかった人も、この「ひとりじゃないの」は歌えるのではないだろうか?当時のアイドルにはそのような時代のオーラがあったような気がする。

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琴線 

 

私たちは深い感動を経験したとき「心の琴線に触れるような」と形容することがあります。それは私たちの中に無かった何物かを作品から与えられたというよりも、むしろ私たちの中に在った何物かが作品によって触発されたという思いの表れではないでしょうか。かねてより漠然と感じていたことが図星に表現されたり、心の底に潜在していたものが呼び覚まされたりという意味で・・・

(雁部一浩 著:ピアノの知識と演奏)


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初恋 

 

雁部一浩著「ピアノの知識と演奏」という本に、次のような文があった。

「演奏という行為は私たちが作品にアプローチして作曲家の思いを代弁するという図式に捉えがちですが、真相はその逆で、むしろベートーヴェンやショパンの方が私たちの切なる思いを代弁してくれているのではないでしょうか」

「私たちの内面に在るものを彼らが見事に書いてくれているからこそ、作品への共感が生じるのだとすれば、つまるところ演奏とは、他者の作品を借りて自らの思いを表現する行為ということになります」

自分の内にある何ものか、それを作品が代弁してくれている、なので心が動く・・・ということなのだろうか?

孝蔵少年は面と向かって「好き」などとは到底言えなかった。せいぜい慕う相手のいるテニスコートにサッカーボールを蹴り上げることぐらいしかできない。自分の名前なんてとても言えない。

でもこの苦しいような、切ないような思いは何なんだろう?「愛」という字を書いてみる。心が震えてくるようだ。僕は愛を感じているのか?だからここまで苦しいのだろうか?

「ピアノの知識と演奏」にはこうも書いてある。

「音楽を聴くということは、音楽をただ音構造として認識することではなく、多様な音表情が自らの感情の襞に触れ、これを触発し、そこに共感が生まれるということでなくては意味がありません」

転校してしまうのか・・・

お別れさえ言えない。話す勇気さえも今までなかったのだから。駅に見送りに行こうか?でも同じクラスでもない僕が駅にいたら
皆も変に思うだろう。

電車は発車した。「もう会えないんだ・・・」

孝蔵少年は自転車を必死に漕いだ。自転車は電車を追い越し、孝蔵少年は踏切で、走り去っていく電車に向かって大きく手を振った。できたのはそれだけだった。意思表示はそれだけだった。それが孝蔵少年の初恋だった・・・

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