ピアノのある生活、ピアノと歩む人生

「ピアチェーレ」代表の私的ブログ

ジュリアード幻想 

 

基本的にはメールフォーム経由のメールには返信していないのだが、中高生からだと思われるメールには返信している。その多くは、ピアノの悩み、先生との確執(?)のような内容だけれど、中には変わった内容のメールもある。「何故僕になんか質問してくるのだろう?」という首を傾げたくなるような質問、それも共通した内容の質問が不定期に複数あったので、ちょっと考えてみたくなった。

「音大のピアノ科を目指していたのですが、先生からピアノ科は無理だから声楽で受験したら・・・と言われました。楽典や聴音はピアノと並行して勉強していたので問題はないのですが、どうせならアメリカのジュリアード音楽院の声楽科を受験してみたらと先生に言われました。アメリカの大学は入学するのは簡単だからという理由でした。そしてジュリアードはピアノや弦楽器は難関だけれど、声楽は誰でも受かるからとも言われました。kazさんはアメリカに留学していたみたいだし、声楽にも詳しいみたいなのでメールしてみました。ちなみに私の英語力は普通の日本の高校レベルだと思います。よろしくお願いします」

まず感じたのは、「何故僕に???」ということ。僕は、たしかにアメリカの大学を卒業しているが、音楽専攻ではない。ブログを読めば分かるのに。そして歌は好きなのは事実だけれど、音大の声楽科なんて未知の世界でしかない。

しかしながら、ジュリアード音楽院もだが、アメリカの音楽院の学生のリサイタルなどは、あちらで沢山聴いた。なので、大体どのようなレベルの学生が多いのかということは認識しているとは思う。

そこで思うのは、「その先生も無責任だなぁ・・・」ということと、その高校生も、もう少し自分でいろいろと調べないといけないな・・・ということ。

メールでの返信では「僕には専門外の事なので、お答えできません」といつも書いているが、本心は「ジュリアードは無理なのではないかな」と感じる。

もしかしたら、高校生には罪はない(?)のかもしれない。有名歌手の歌唱を聴く機会はあっても、なかなか現役学生のレベルを知る機会はないし、ピアノなどの器楽と異なり、声楽なら高校生という時期は、まだまだこれから・・・という時期なのも事実だと思うからだ。高校生からピアノを初めてジュリアード音楽院のピアノ科は無理だけど、声楽なら・・・と思ってしまうのかもしれない。日本の音大にだって高校生から本格的に歌を習い始めて声楽科に合格した人はいる(多い?)はずだ。声楽は大学卒業の時期だって、「まだまだこれから・・・」という要素はあるのだと思う。

僕が留学していた頃と比較すれば、留学に関する情報そのものは得やすくなったと思うが、でも音楽院の実際のレベルのようなものは、意外と調べにくいものだとも思う。

個人的には、ジュリアード音楽院の声楽科のレベル、一般的な学部生、院生の歌唱を聴いた経験では「誰でも入れる」というレベルではない・・・と感じた。昔のことだから現在のことは知らないが、10年やそこらで大幅に変化するようなことでもないだろう。

日本でも有名私立音大の学費は高額らしい。もちろん、ジュリアード音楽院も高額だけれど、比較してみるとジュリアードの割高感はないのかもしれない。むろん、生活費はかかるが(ニューヨークに住むので)、日本でも地方の高校生が上京して下宿したら生活費は相当かかる。

いろいろな事が重なり、夢のような罪のない「ジュリアード幻想」を抱いてしまうのかもしれない。

やはり高校生には罪はないのだと思う。安易な助言をする先生にはあるが・・・

でも、やはり夢を持つことと、幻想とは異なる。夢を実現させるには、幻想ではなく現実を見ないと・・・

あくまでも個人的に感じたことを書いてみたいと思う。

まず、英語に関しては、「普通の高校生レベル」ではジュリアード音楽院に入学するのは非常に難しい。トーフルのスコアにおいて、ジュリアードは非常に高いスコアを求めている。英会話能力ということではなく、このトーフルをまず受験してみることが先決だと思う。各学校で要求スコアは異なるが、そのスコアをクリアしていることがまず最初だと思う。

「アメリカの大学は入るのは易しいが卒業は難しい」という説、これは一般的にはそうだと僕も思う。日本だと入試の倍率や偏差値が重要視されるけれど、アメリカの大学には「卒業率」という言葉が浸透しているぐらいに、やはり卒業は難しい。卒業率、全米平均では50パーセントを割っているのではないかと思う。

でも、入学するのは易しい・・・というのも学校による。ジュリアード音楽院は入試の倍率も高いと思う。6パーセントという合格率だったかな?でもアメリカの音楽院には「定員」のようなものはないと思うので、誰のクラスに入るかということでも難易度は変わってくるはずだ。留学生枠が先生によって変わったりするから・・・

頂いたメールでは偶然にも全員がジュリアード志望だったので、例をジュリアード音楽院にしているけれど、どの音楽院も英語力がないと厳しいのではないかと思う。そして「入るのは易しい」というのも違うのではないかな・・・と。

先生に専攻を変えるように言われ、しかもジュリアード音楽院のようなアメリカの音楽院の声楽専攻という、日本の音大よりも、さらにイメージの抱きにくい学校を、「アメリカの大学は入りやすいから・・・」という憶測で助言してしまうというのはいかがなものかと思う。

「近くの英会話教室に通って準備しています・・・」

違うよなぁ・・・と思う。

この動画はジュリアード音楽院での公開レッスン。歌っているのは、もちろんジュリアードの学生・・・

今は手軽にこのような動画も確認できるのだから、いい時代(厳しい時代?)になったものだと思う。

kaz



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