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ピアノのある生活、ピアノと歩む人生

「ピアチェーレ」代表の私的ブログ

被征服民族 

 

リサイタルの後半はショパンの作品。1曲だけパデレフスキの作品を演奏する。「後半はショパン名曲集なのね?」そうなのだが、僕としてはショパン名曲集を演奏するというよりは、ポーランドを弾くという意気込みではある。パデレフスキ作品(ノクターン)はそのために入れたつもりだ。

ポーランド史を簡単にでも調べてみると、もうそれは侵略され続けた歴史でしかない。このような国は珍しいのではないか?ポーランドは常に征服される側の国だったのだ。そのことがポーランドの芸術、この場合はショパンやパデレフスキのピアノ曲となるが、それらのものに「被征服民族」としての何かが反映されているのかもしれない。

そもそもパデレフスキの当時の人気ぶりというのが謎だ。たしかに今風に言えば「イケメン」の部類だったのかもしれない。残されたパデレフスキの録音、たしかにロマンティックで素敵だが、当時の他の偉大なピアニストを超えるほどだったのだろうか?

カリフォルニアに牧場を所有し、ロンドンとパリに家を持っていた。さらにはスイスに別荘(城館と表現すべきか?)を構えた。移動は自家用の鉄道。もちろんグランドピアノ付き。秘書、執事、シェフ、調理師、マッサージ師らもパデレフスキと乗り込み、まるで大名行列のようであったと。聴衆のほとんどが女性で、パデレフスキが舞台に登場しただけで、一種の集団ヒステリーを起こした・・・

現在、これほどのカリスマ的スターがクラシックのピアニストに限定しなくても存在しているだろうか?異常とも思えるような人気ぶり、フィーバーぶり(死語?)は不思議ではある。

パデレフスキが被征服民族の国の人だったからかもしれない。時には地図から消滅してしまうような、危ういポーランドから来た人。当時の分断された世界の人から愛されたのではないだろうか?

現在、パデレフスキの演奏をノイズ承知で聴く人は多くはないかもしれない。パデレフスキ版において名を残しているのみ?唯一現在にも残っているパデレフスキ作品は「メヌエット」だけ・・・みたいな?

いわゆるサロン風小品という曲。この「メヌエット」は多くのピアニストが弾いていたようで、当時でもヒット曲ではあったのだろう。現在ではピアノの発表会でまれに演奏される程度?結構技巧的に難渋な曲なのではないだろうか?簡単に聴こえるかもしれないが・・・

有名なパデレフスキの「メヌエット」だが、個人的にベストの演奏はパデレフスキ本人のものではなく、ラフマニノフの演奏。これは素晴らしい。この一見(一聴?)優雅な「メヌエット」という曲からさえも、何か翻弄され続けた被征服民族としての憤りみたいな感情を聴きとってしまう僕は、どこか変わっているのかもしれない。

パデレフスキが3歳の時。父親が反ロシア分子なのではと、ロシア兵たちがパデレフスキの家に家宅捜査に入った。家中が滅茶滅茶になるほどの荒い捜査ぶりだったと想像できる。隅で震える3歳のパデレフスキ・・・

「お父さんを連れていかないで!」「すぐに帰ってくるんでしょ?」涙ながらにロシア兵に訴えるパデレフスキ。ロシア兵は、この時3歳のパデレフスキをムチで打ったのだ。パデレフスキの肌は裂け、血だらけになった。ロシア兵は高らかに笑いながらムチを打ち続けた・・・

この時パデレフスキは自覚したのではないだろうか?自分たちポーランド人は常に支配される側の人間なのだと・・・

kaz




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category: リサイタル 2018

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