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ピアノのある生活、ピアノと歩む人生

「ピアチェーレ」代表の私的ブログ

人は最後の瞬間まで挑戦したいと思う 

 

シューベルトに「岩の上の羊飼い」という歌曲がある。大変に爽やかでフレッシュな印象を感じる曲だ。フレッシュであり、同時にそれは天上のメロディーでもある。

この曲の編成は非常に珍しい編成となっている。ソプラノ、クラリネット、そしてピアノ・・・器楽、声楽、ピアノという組み合わせは今でも斬新なのではないだろうか?シューベルトにしては歌のパートにコロラトゥーラの超絶技巧を駆使している。その点でも珍しい。

普通、歌曲は一人の詩人の単一の作品を音楽にする。ゲーテの「魔王」のように。でもこの曲は複数の詩人の異なる詩を組み合わせている。これもかなり斬新な発想だ。

この曲はシューベルト最晩年の作品。この曲か、あるいは「白鳥の歌」の最後の曲がシューベルト歌曲の最後の作品と言われている。どちらが最後にしても、この「岩の上の羊飼い」はシューベルトが亡くなる数週間前の作品となる。

晩年と言っても31歳だったわけだが、死を予感しつつ新たな挑戦をしたということになるのだろうと思う。少なくとも枯れてはいない。

歌のパートは華やかだ。技巧駆使。シューベルトにしては珍しい。クラリネットも鮮烈だ。でもピアノのパートはなんとも地味。シューベルト歌曲のピアノパートでも伴奏に徹した最たるものになるのかもしれない。

ほぼブンチャッ ブンチャッ とか、ブンチャッチャッ・・・のような音型。「まあ、初見でもいけそう・・・」みたいな伴奏譜ではある。

クラリネットのシャロン・カム、ソプラノのバーバラ・ボニー、それぞれ素晴らしい。でもピアノのジェフリー・パーソンズの音と言ったら・・・

単純な音型の繰り返し、「僕、地味に徹します」という楽譜でも、そのタッチの見事さは隠せない。

もし幸福感に溢れた天上の曲に、隠された孤高の孤独・・・のようなものを感じるとしたら、それはジェフリー・パーソンズの集中された研ぎ澄まされた音がそう感じさせているのかもしれない。

死の間際にこのような作品・・・何と言ったらいいのだろう・・・

kaz




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