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ピアノのある生活、ピアノと歩む人生

「ピアチェーレ」代表の私的ブログ

黄昏シネマ 

 

クラシック音楽の基準みたいなことを考えた出来事がある。もう10年以上も昔のことになるが、ピティナのセミナーを見学したことがある。ピティナ主催のコンクールの課題曲セミナーみたいなもの。率直な感想としては複雑だった。「このようにこの曲は演奏するんですよ」というものを強制するようなセミナーではなかった。バロック期の課題曲であれば、その曲をどうたら・・・というよりは、バロック期全般の指導法とか、演奏法に関して説明されていたように思う。

でも、ピティナ側講師が課題曲を演奏してしまうんですね。客席の(街の?)講師たちは、その演奏に全く引きずられないのだろうか?テンポ感とか・・・

演奏が始まると、聴くというよりは、客席が一斉にメモ魔と化する・・・という雰囲気ではあった。休憩時に、録音した演奏(本当は禁止なのでは?)を聴きながら、メトロノームを参考に楽譜にメトロノーム記号を書き込んでいる(と思われる)人たちが結構いたように思う。

「それって演奏という行為から、かなり逸脱しているのでは?」とクラシック嫌いの知人は言っていたが、課題曲を講師側(ピティナ側)が実際に演奏してしまうと、それはやはり「模範演奏」と感じてしまう講師たちも多かったのではないだろうか?演奏行為からの逸脱・・・というのは厳しすぎる感想かもしれないが、基準というものが重要視される世界なのではないかと感じたのは事実だ。

そもそもコンクールなんて基準到達度判定の場・・・みたいなところはないだろうか?優勝者に演奏の機会が与えられるということは素晴らしいことだが、正直聴き手としては、「どの人も同じ」みたいな印象さえ持ってしまって、どこかクラシック界が停滞してしまう一因のようにも思えてくる。

どれだけ弾けるか、理解しているか、実行できているか、つまり到達度を聴きたいわけではないのだ。聴き手は演奏者の近親者でも先生でもないのだから、そんなことは関係ないのだ。そうではないものを期待する。でも多くのコンクール組の達者な人たちからは、その「何か」を感じることは非常に少ない。

杉本真人という作曲家がいる。クラシック畑(?)の人ではありません。歌手の時は「すぎもとまさと」という平仮名表記になるんだったかな?作曲家として杉本真人は、ちあきなおみに、かなりの曲を提供している。歌手すぎもとまさと、として、ちあきなおみに提供した曲も自身で歌っている。職人芸的な上手さからすると、圧倒的にちあきなおみに軍配が上がる。ちあきなおみという歌手は、どんな曲であっても「なおみワールド」という色香の世界を表出しているので、単純比較をすれば、歌手すぎもとまさとは不利ではあるのだ。

美声・・・とはとても言えないのではないか?悪声というのは言い過ぎだとしたら、だみ声(同じか?)?上手基準であるところの適度なヴィブラートにも欠けているような?

でも惹かれるんだよね。

クラシックと歌謡曲とは比べられるものではない・・・それを言ってしまってはお終いのような気はするが。

すぎもとまさと(杉本真人)の曲としては、この曲は地味な部類になるのかもしれない。でも僕はこの曲、歌い方、声がとても好きだ。何かをドスンと落としてくれるし、元気が出てくる。包んでくれるというか?

kaz




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コメント

 

私はいわゆる愛好家の立場ですが、kazさんの書かれた「フ・・・素人は気楽でいいわね。」
のようなことを、遠回しに言われたことがあります。
“大人ピアノ”を陰で鼻で笑うような、音大生も知っています。

わからなくもないんですけどね。
幼児期からずっと、ピアノにすべてを捧げるような生活をされて、
私などの想像を越えた、厳しい経験を重ねてこられたのでしょう。

でも、それはそれというか……
じゃあ、心に響く演奏を聴かせてよ、と言いたくもなります。
素人の言い分でしょうか。
Kazさんも前に触れられていましたが、その点、ピアノに特別な思い入れをもたない人ほど、残酷な判断をしますよね。

たくさんのきゅうりのなかから、1番のきゅうりを選んでいるだけ
そこには人参もほうれん草もないし、米も肉も魚もない、チョコレートもない
それに気づかないで一喜一憂する世界
コンクールについて、そんなふうに自嘲的に?おっしゃったピアノの先生がいました。
そうだなあと思うのですが、これも、あなた(のようなレベルの低い人)にはわからない、
などと片付けられておしまいでしょうか。

なんだかまとまりがなく、表現がひねくれてきたので、このあたりでやめますね。

自分のことはさておき、子供がピアノを始めるとき、どこへ訪ねていくのかとても悩みました。
Kazさんがいつも書いておられるのと、同じようなことを考えています。
ピアノ業界は、たくさんのすてきなおいしいものを取りこぼしているように、私には見えます。

nonja #- | URL | 2017/12/22 09:49 | edit

nonjaさま

コメントありがとうございます。

もしかしたら、ピアノだけに限らず、クラシックの演奏の世界って、例えば演歌歌手などの世界に比べれば、非常に甘い世界なのかもしれません。

ミカン箱の上に立って地方のレコード店で歌う、聴き手に「退屈だな」と思われたら、その演歌歌手は終わりです。「上手いとは思うが、つまらんね」そう思われても終わりです。

クラシックの場合、退屈な演奏でも聴き手が「自分は教養がないから分からないのだ」と思ってくれます。「なんだか難しそうな曲を弾いて、凄いな」とも思ってくれます。

演奏者と曲と聴き手、ここに対話のないことが多いように思います。

kaz #- | URL | 2017/12/22 11:14 | edit

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