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ピアノのある生活、ピアノと歩む人生

「ピアチェーレ」代表の私的ブログ

ショパンの前座 

 

そのものずばり「ピアノの学習」(音楽之友社)という本を持っている。長岡敏夫という人の著で、昭和47年に発行されている。昭和47年、まさに高度経済成長期の本なのだ。指の練習書から導入の教材、さらには邦人作品まで、満遍なく説明されていて、当時はよく読まれていたのではないかと想像する。

特色としては、曲に難易度がついていること。「初級4」とか「上級5」みたいに。全音ピアノピースと同じ感じだろうか?まさか当時でも「その曲は中級3でしょ?もう少し中級2の曲を弾いてからにしましょう」などということは高度経済成長期のピアノ教室でもなかったように思う(願う?)けれど。この本のもう一つの特色は著者提案による「学習順序」が記されていること。むろん、すべての作品にではないが、バッハのインヴェンション、平均律、ベートーヴェンのソナタ、ショパンのエチュードなどには記されている。この著者の提案通りの順番で学習できた人、当時どれくらい存在したのだろう?

「ピアノの学習」というタイトルも当時を反映していると思うが、チーチーパッパではなく、少しでも真面目にというか、専門的(!)にピアノを習うということは、「膨大な量です。その道を進むのがピアノ道である」のような読後感も当時のピアノ教育というか、ピアノ道を反映させているような気もする。今だったら、もう少し「楽しく」みたいな要素がないと売れないのではないかと・・・

「えっと、チェルニーは30番、40番、50番は必ずだから、これで120曲ね。ショパンの練習曲はこの本の順番に従うとして、その前にモシュコフスキの練習曲もやらなきゃ。よかったぁ、たった15曲だわ」

著者の責任ではないけれど、こう全部を最初に順番、難易度つきで提示されてしまうと、あまりの量の多さにクラクラしてきてしまう。終わりなき茨道、それがピアノ道・・・のような?「まだまだ必修曲が待っているのよ?急いで・・・頑張れ・・・」みたいな?

ただ網羅されているという点で、昭和47年当時、この本はかなり斬新であったと思う。モシュコフスキの小品も紹介されていたりするのだ。連弾の「スペイン舞曲集」を含め6曲も紹介されている。

モシュコフスキの15の練習曲Op.72も紹介されている。この本では「曲」の章ではなく「練習曲」の章で、チェルニーやブルグミュラーの後に紹介されていて、こう書かれている。

モシュコフスキ15の練習曲(上級2-上級3) ロマン的な美しさを表現するテクニックの育成をめざしている。なかんずくショパンの「練習曲」のための準備としては最適と思われる。

内容に異論はないけれど、モシュコフスキが「練習曲」の章で紹介されていること自体が当時を反映しているような?ショパンやリスト、ラフマニノフの練習曲は「曲扱い」なのに、練習曲仕分けされてしまっている。しかもショパンへの準備・・・

「日本では僕はショパンの前座か?」とモシュコフスキは天国で感じているかもしれない。

そのモシュコフスキの練習曲を実に魅惑的に演奏しているピアニストがいる。イレーナ・ヴェレッドというイスラエルのピアニスト。アメリカでは非常に有名だが、何故か日本での知名度は高くはない。何故かなぁ?

これからの時代、何を弾かなければ・・・というよりは、どの曲も、それはブルグミュラーやチェルニーも含めて「どう弾くか」という時代になっていけばいいと思う。

僕が子どもの頃習っていたピアノ道、まるで自動車教習所のカリキュラムみたいだった。「ハイ、合格。次のステップは・・・」みたいな?

モシュコフスキはショパンの前座ではないですよ?

kaz




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