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ピアノのある生活、ピアノと歩む人生

「ピアチェーレ」代表の私的ブログ

ミモザの花咲く頃 

 

「ねえ、彼女って・・・」「ああ、私の娘のラウラだよ。覚えてないのかい?あんたも子どもの頃一緒に遊んだじゃないか?」「ああ、あのラウラ?」「別嬪になっただろ?ローマの大学で美術を専攻していてね。夏の間はこちらにいるんだ」「そうか・・・大学生なのか」

マッテオにとっては一目惚れだった。ラウラは懐かしそうに話しかけてくる。「まあ、マッテオ?ハンサムになって・・・」一緒にソレントの街を散策したり、ナポリ湾を見つめたりした。でも夏はもう終わる。ラウラはローマに戻るのだろう。

「マッテオ?心配事かい?」母親だった。マッテオはラウラに対しての自分の気持ちを母親に伝えた。「ラウラはいい娘だね。男だったら夢中になるさ」「恋人がいるんだろうな?」「そんなこと知らないよ。直接訊いてみればいいじゃないか?」「母さん、そんなこと訊けないよ」「ラウラもお前のこと好きなんじゃないか?私はそう思うよ」「そうだとしても・・・」「なんだい?」「彼女にパン屋の女房になってくれなんて言えないよ」「マッテオ、あんた、本当にバカだね。女っていうものを分かってない」

「母さんは父さんのプロポーズを待っていた。でもあの人はなかなか言い出してくれなくてね。女は待っているもんだよ?」

マッテオが告白できないまま、ラウラはローマに戻った。

「マッテオ?本当に今のままでいいのかい?」「いいんだ」

「父さんのプロポーズ、知らないよね。いつものようにパンを焼いてくれてね。一つだけリボンがかかっていた。そのパンを割ると指輪があったんだ。やっと跪いてプロポーズしてくれたよ。僕と人生を歩んで下さいとね。待ちくたびれた。気持ちを伝えてみなよ?このままだと後悔するよ?」

3月、ミモザの日、ミモザの黄色い花が咲き誇り、春の訪れを知らせる日。イタリアでは、この日は男性が女性に愛を伝える日でもある。気持ちをミモザの花に託して。

パン屋の軽トラックの荷台一杯にミモザの花を積んだ。マッテオはローマまでトラックを走らせた。ラウラはいるだろうか?この住所でいいのだろうか?あの窓辺だろうか?

マッテオは歌を歌った。故郷のナポレターナを。窓辺に向かって・・・

辺りの窓が開き、そしてラウラが出てきた。「マッテオ???」

「ラウラ、あの・・・小麦粉・・・」「えっ?小麦粉?」「あの・・・小麦粉からパンを作ろう。ずっと僕とパンを焼いて欲しい・・・一緒にパンを・・・」

ラウラは荷台から溢れんばかりのミモザの花を見た。彼女の瞳が涙に溢れた。

マッテオは道端で跪いてこう言った。「パン屋の女房でいいなら、僕と結婚して下さい。一緒に人生を歩んで下さい」



これは友人ルカの両親の話。実話だ。

マッテオはこの歌を歌った。

「彼女に告げて」  詞:エンツォ・フスコ  曲:ロドルフォ・ファルヴォ

彼女に告げて
眠ることも夢見ることもできない
いつも彼女のことを想っている
彼女は私の命なのだ
彼女にそう伝えたい
でもとても言えない・・・

彼女を愛している
死ぬほど愛している
伝えてくれ
どうしても彼女が忘れられない
彼女は鎖よりも強い情熱
私の人生を苦しめ 生かしてはくれない





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