ピアノのある生活、ピアノと歩む人生

「ピアチェーレ」代表の私的ブログ

美ブラート 

 

現役のヴァイオリニストの中で、僕が最も「美音だな」と感じるのが、ピンカス・ズカーマン。ヒラリー・ハーンやヴェンゲーロフの上手さにも唸ってしまうところがあるが、類まれなるビブラートというのでしょうか、トーンに酔いしれるという意味では、ズカーマンに軍配があがる。個人的な感想ですが。

ズカーマンのビブラートは、まさに「美ブラート」という感じで、他者の追随を寄せ付けないような美音を作り出している。弦楽器の場合、ピアノ以上に楽器そのもののことが話題になる。「楽器が違うからぁ・・・」のように。たしかに彼の弾いている楽器、スタインウェイのフルコンサートが何台買えるでしょう的な価格なのだと思う。売るとか、そのようなものでもないだろうが。

ピアノの場合、楽器が同じでも奏者によって音は変わる。つまり弾き方によって。なので、ズカーマンの美音は高価なる(天文学的価格による?)楽器だけが理由ではないだろう。ズカーマンの公開レッスンで、彼が生徒の楽器で弾くシーンを観たことがある。生徒の楽器で弾いてもズカーマンの音だったような気がする。やはり楽器のせいだけではないように思う。

弾き姿が美しいとも思う。身体を必要以上にクネクネさせたりしなくても、スッと弓が弦に触るだけで美音が鳴るかのような?つまり「これでもか」のような力感を全く感じさせない。そこが好きなのだと思う。おそらく僕が往年のピアニストの演奏を好むのも、同じ理由からだと思う。今は少し「これでもか」のような演奏を美化しすぎているように感じる。

美しい音楽、美しい演奏、それだけを堪能すればいいのだろう。それ以外に何がいる?なにもいらないけれど、背景のようなものを考えてみると演奏がより深く感じるようなこともある。錯覚かもしれないし、むしろ音楽を聴くという意味では邪道なのかもしれないが。

このズカーマンのブルッフ、オケがイスラエル・フィルなのだ。サラッと見ると、外人さんたちの普通のオーケストラなのだが、よく見ると、「ああ、ユダヤ人たちだ」と感じる。別に全員がキッパを着用しているわけではないのだが。迎えるソリストが、これまた生粋のユダヤ人、ズカーマン。しかも彼はテル・アヴィヴ出身。イスラエルはズカーマンの生まれ故郷でもあるのだ。

お互いのリスペクトのようなものを感じる。物凄く感じてしまう。それぞれの国を追われてきた人たちが作ったオーケストラ。テル・アヴィヴから世界へ羽ばたいたユダヤのヴァイオリニスト。お互いの強いエネルギーを感じる。

日本のように周囲を海で囲まれているわけではない。アメリカのように広大な土地があるわけではない。あの山の向こうには、異なる文化がある。自分たちの文化はいつ大国に奪われてしまうか分からない・・・そのような緊迫感。これはヨーロッパならではの感覚なのではないか?そのヨーロッパで生き抜いてきた、追われてきたユダヤ人たちが一堂に会するような、何かエネルギーのウネリのようなものを、この演奏から感じたりする。

kaz




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