ピアノのある生活、ピアノと歩む人生

「ピアチェーレ」代表の私的ブログ

「気」と「音楽」 

 

「今日、新たに15名の入会問い合わせがあったのよ」「まぁ、あなた、あそこの酒屋さんの角にピアノ教室の看板掲げたでしょ?だからじゃない?」・・・これは昭和のある時期のお話。今は少子化、趣味の多様化でこうはいかないだろう。だからこそ、生徒獲得、教室存続関係のセミナーが成り立っている。それ関係の書籍も多い(らしい)。

需要と供給の問題なんじゃないだろうか?生徒は誰だって、簡単に言ってしまえば「上手くなりたい」と思っているものではないかな?例えば教室関係ブログの書き方講座とか、そのようなものに熱心になるよりは、需要と供給というシンプル、かつ難しいことを突いていったほうがいいのではないかと。「なんだか自分の望んだようには弾けないの」とほとんどの生徒は感じていると思う。だからこそピアノ教室に通っているのだが、生徒の需要に対して、供給できる教師が少ないのかもしれない。「なぜにうまくいかないのか」を分析し、その分析を分かりやすい言葉やサウンドで伝達する。生徒にその情報をレッスンという場を通して「お持ち帰り」させる。ここが弱いのかな・・・と。上手くなりたいという需要に供給がついていっていない・・・みたいな。

もともと「なんだかな」とか「そこそこいいんだけど」みたいなものに対して分析する方が、自分を圧倒してしまうほどの魅力を分析するよりは楽なのかなと思う。感激とか感動というもの、「持っていかれてしまった」みたいなものは、分析困難だからこそ、そう感じるというか・・・

しばしば、圧倒的なほどの美、哀しみ・・・このようなものは人に感動を与えるけれど、「気」のような摩訶不思議なものも付加されていることもないだろうか?あまりにも美しいメロディーを、あまりにも哀しい詞と共に、あまりにも繊細に歌われたりすると、その歌に「気」が生じる。その「気」が時に人を翻弄してしまうこともある・・・

この科学万能の時代、「気」のような曖昧なものを感じるのは時代錯誤なのかもしれない。おそらく、感動するということも科学的に説明できるのではないだろうか?脳内の○○という物質が~のような働きをして・・・のように。

でも僕は「気」というものを深く深く信じていたりする。宗教的信仰というものを持たない僕は、音楽とか、そこから生じる「気」のような、そこに影響される人間本来の「魂」のようなものを信じているのかもしれない。

「自分はなぜいつもこうなのっ!」と世界に対して、どこか不満というか、負のオーラを持っていて、その呪縛から解放されないと、神様(仏様でも)は「あっ、この人は他人をうらやむような人生を望んでいるのね」と、さらに不幸の塊をその人に与えてしまう。悲観的に過ごしている時って、新たな困難が呼び寄せられたかのように困難が続くことってないだろうか?これは負の「気」が同じような「気」を呼んでしまうのだと思う。

ある意味、楽観的というかパーンと弾けてしまうというか、無理やり「絶対に自分は幸せの星の下にいる」と思い込むというか、そのような人の方が、プラスの「気」を集めるような気がする。「気」は言霊にしてしまったり、文章にしてしまうと、より大きくなる。今はネットという媒体に活字として誰でも文章を残せる。僕には、様々な「気」が宙を飛んでいるように思えてならない。何倍にもなって発した人に返ってくるというのが不思議というか、恐ろしいというか。

あまりにも美しいメロディー、詞、歌声によって、その歌の「気」が生じ、関係者を引きずり込んでしまったかのような、そんな曲を紹介してみたい。結構有名というか、大ヒットした曲なのだが、若い人は、もしかしたら聴いたことがないかもしれないし、「気」の要因のようなものは知らない人も多いかもしれない。

「ウィズアウト・ユー(ウィザウト・ユー)」という曲。この曲は、もともとバッドフィンガーというロックグループの中の二人が書いた曲。バッドフィンガーのメンバー、ピート・ハム、そしてトム・エヴァンズは曲を書いていた。ある部分は非常にいいのだが、ある部分が弱い・・・みたいな曲をお互いに持っていた。「二人の曲を合わせてみようか?」ということでできたのが、「ウィズアウト・ユー」という曲なのだ。曲も詞も二人の合作ということになる。何故か、ここまで美しい曲はシングルカットされなかった(日本ではシングルカットされたらしい)。

一年後、「ウィズアウト・ユー」をカバーした歌手がいた。ハリー・ニルソンという歌手。ニルソン版の「ウィズアウト・ユー」は全英、全米でチャート1位になる大ヒットとなった。「ウィズアウト・ユー」はハリー・ニルソン以後も実に多くの歌手がカバーしている。それだけ「歌ってみたい」と歌手に感じさせる曲なのだろう。

この曲の作者たち、バッドフィンガーのピートとトムはその後どうなったのだろう?ごく大雑把に言うと、レコード会社とか、マネージャーとの関係が上手くいかなくなってしまった。ピート・ハムはトムに「気にしないで。逃げる場所は知っているから」という遺書を残して首吊り自殺をしてしまった。後年、トム・エヴァンズもピートと同じく首つり自殺をしている。トムの遺書にはこう書かれてあったという。「ピートの居場所に行きたい」

ここに張り付けたのはハリー・ニルソンの「ウィズアウト・ユー」で、僕は、彼の声は、あまりにも美しく、そして哀しいとさえ感じる。この歌声を聴いて、ジョン・レノンがハリーに電話をしたことは有名な話らしい。「君、最高だね!」

ハリー・ニルソンも幸せとは言えない人生を歩んだようだ。アルコールと薬に溺れるようになり、その持前の美しい声を失ってしまった。糖尿病をも患ったが、復帰を目指していたという。でも力尽きたのだね。直接の死因は就寝中の心不全だったらしい。享年52・・・

あまりにも美しく、哀しい曲と詞、あまりにも美しすぎたハリーの声・・・

「ウィズアウト・ユー」という曲に「気」が宿っていたのだろう。その「気」は曲の内容のように作者、歌手を引っ張ったのだ。


「ウィズアウト・ユー」   曲・詞  :   ピート・ハム  トム・エヴァンズ
               歌唱  :  ハリー・ニルソン

今夜のこと、忘れない
去っていく君の表情も

でもこれが人生だとも思うんだ
君はいつも微笑んでいたけど
その瞳には哀しみが映っていた
そう、映っていたんだ

僕は明日を忘れない
哀しみと向き合うその時を
君を手放してしまった後の時を
君に伝えればよかった
君が知るべきことを

君なしでは生きていけない
生きていけない、これ以上何も与えられない
君なしでは生きていけない
でもこれ以上何も与えることはできない

君なしでは・・・




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