ピアノのある生活、ピアノと歩む人生

「ピアチェーレ」代表の私的ブログ

鉄のカーテン 

 

昔、東京の神保町に「新世界レコード」というレコード屋があった。雑居ビルの中にあり、なかなかディープな世界を醸し出していたと記憶している。今も存続しているのだろうか?その「新世界レコード」に通う目的は、むろんレコードであったわけだが、そこは旧ソビエトのメロディアというレーベルを扱っていた。つまり鉄のカーテンの向こう側の演奏家目的で通うわけだ。当時、僕は中学生だっただろうか?そんな僕でも結構ドキドキしたものだ。ディープな音楽愛好家などは、たまらなかったのではないだろうか?

冷戦時代、ソビエトの演奏家に対しては飢餓感のようなものを感じていたと思う。情報が入ってこないので。西側の演奏家であれば、コンクールなどで騒がれ、黙っていても情報は入ってきたと思うが、ソビエトの演奏家に関してはそうではなかった。むろん、リヒテルなど、当時でも有名な演奏家のレコードも売っていたのだと思うが、有名ではない演奏家のレコードに興味があった。ジャケットの紙の質なども、あまり良くなく、それがかえって神秘的な魅力になっていたように思う。「ああ、ソ連の匂いだ」とジャケットに顔を近づけてみたものだ。

ベルマン、ダヴィドヴィチ、さらにはフェルツマンなど、西側に亡命して知られたピアニストを聴いて共通して感じたのは、ある種の驚きではなかったか?ソ連にはこのようなピアニストがどれくらい埋もれているのだろう・・・みたいな?

ソビエト崩壊後、情報はさらに西側に供給されるようになった。鉄のカーテンは消滅したのだ。でも、現在でも知られていないピアニストはいたのだ。それが驚きだ。

ウラディーミル・バック・・・という日本語発音でいいのだろうか?アメリカに移住しているようなので、フェルツマンのように亡命し、西側で活躍したピアニストなのだろう。でも彼の演奏は何故か日本には入ってこなかったような気がする。知らなかったのは僕だけなのかもしれないが・・・

サン=サーンスの「序奏とロンドカプリチオーソ」、この曲はヴァイオリンの超有名曲だが、ピアノバージョンがあるなんて知らなかった。ユーチューブでたまたま見つけて、最初は「珍編曲」というつもりで聴いていた。でも、たちまちその演奏の魅力に惹き込まれていった。「こんな人が旧ソ連では弾いていたんだ」みたいな驚き、喜びを感じた。

かつて鉄のカーテンの向こう側では実力派として知られ、カーテンが消滅しても、そのままの神秘性を保っている演奏家、結構存在しているのかもしれない。

kaz




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