ピアノのある生活、ピアノと歩む人生

「ピアチェーレ」代表の私的ブログ

スケート王国の代償 

 

1985年、サラエボ・オリンピックの翌年だが、東京でフィギュアスケートの世界選手権が開催された。この時には(若かった?)僕も会場で観戦した。オリンピック翌年だが、スター選手の多くは引退せず、東京にやってきた。カタリナ・ヴィット、ティファニー・チン、ブライアン・オーサー、ダンスではベステミアノワ&ブキンが圧倒的力を見せつけた。

だが、シングルのフリー、それも最終グループの頃になっても会場には空席があった。今だったら考えられないのではないだろうか?フィギュアスケートの人気は今ほどではなかったのだろう。日本選手の活躍・・・というのも今のようではなかったのだと思う。

「ああ、日本がアメリカやカナダのようなスケート王国になる日がくるのだろうか?」「野球のような人気スポーツになるのだろうか?」このように思ったような記憶がある。1980年、たしかドイツのドルトムントで開催された世界選手権、この時はテレビ観戦だったが、日本の渡部絵美選手の印象が鮮烈だった。たしか、ショートとフリーだけの成績は2位だったと思う。でも総合4位に終わった。地元西ドイツの選手(ダグマル・ルルツ選手)が有利だったかと個人的な感想を持った。彼女はフリーで冴えなかったものの、総合2位。「釈然としないなぁ・・・」ルルツ選手と渡部選手は、いつも銅メダル争いをしていたような?渡部選手の点数が抑えられているように感じだのは気のせいか?

「ああ、日本がスケート王国だったら・・・」

1980年のオリンピック、その前年の世界選手権で渡部選手は3位だったので、オリンピックの女子シングルの代表枠は一人ではなかったはずなのに、オリンピック代表は渡部選手一人だけだった。当時の日本の層の厚さというか、薄さを物語っているかのようだ。結局、一人の選手が日の丸を背負う・・・みたいな感じになっていたんじゃないかな。

今はスケート王国だ。素晴らしい選手がシングルでは女子も男子もいる。一人の選手が日の丸を背負うというよりは、日本代表枠に入れるかどうかという方が大変だったりする。かつてのアメリカみたいだ。

「ああ、日本も(シングルでは)スケート王国になったのだ!!!」

喜んでいいはずなのだ。でも僕の中では素直に手を叩けない、小躍りして喜ぶような気持ちになれないところがある。

スター選手が存在するということはいいことだけれど、必要以上にその選手を追ってしまうというか?芸能人やアイドルのような追い方?練習後、ファンが群衆のようになって選手を取り囲む。スマホの嵐・・・

海外での競技会なのに、日本人ばかり。いいことなのかもしれない。今はフィギュアスケート大国日本・・・なのだから。でも国内大会かと思うほど、日本人の観客が多い。女性が多いかな?なんとなく違和感を感じなくもない。地元のファンが締め出されていないことを祈る。

昔は、国がどうとか、○○選手の成績が・・・ということよりも、純粋にフィギュアスケートを楽しんで観ていたような気がする。日本人には手の届かない世界・・・という要素もあったのかもしれないが、でも競技として楽しめたような?

僕が完全にフィギュアスケートから心が離れてしまったのは2010年のバンクーバー・オリンピックの頃だと思う。実は僕は韓国のユナ・キム選手の演技が好きだった。当時はそんなこと言えないような雰囲気だった。ユナ・キム選手の演技、動画を観てしまったのだ、日本語の字幕のついたもの。「失敗しろ!」「転べ!」「下手くそ!」このような文字が動画上で狂い舞ったのだ。その時、涙が溢れたし、背筋が寒くなった。おそらくフィギュアスケートから離れたのはこの時だ。彼女は日本選手のライバルという存在だったのだろう。でも特定の選手を中傷するなんて・・・

日本がスケート王国になる前、純粋に他国の選手の演技に酔っていた、あの懐かしい時代、その時代の演技を振り返ってみたい。ジョン・カリー、1976年、インスブルック・オリンピックの金メダリストだ。40年以上も昔の演技だ。「なんだ、ダブルじゃ~ん」みたいな観方は寂しい。彼の演技はバレエ的な所作、、エッジさばきが見どころだ。彼は、このオリンピック後、ある大衆紙にゲイであることを公表されてしまった。ショックだったと思うが、ジョン・カリーの人気が落ちたということはなかったように記憶している。「ゲイなの?だからなに?」みたいな?

オリンピック、フリーの「ドン・キホーテ」なのだが、これはジョン・カリーの「誇り」の演技だったように個人的には解釈している。「男の子でしょ?」「男の子はそんなことをするものではありません」「どうして女の子みたいなの?直しなさい!」おそらく、ジョンはゲイということを隠し、周囲の無意識の攻撃に耐えて、傷つきながら成長したのではないかと想像する。「マッチョな汗くさい男っぽいもの」ではなく、かつては心の奥に仕舞い込んで隠していた自分らしさ、ゲイ的なるものを、彼はこのフリーで全部表現したのだ。エフォルトレスというのだろうか?非常に優雅で、これでもかっ・・・という力感を感じさせない演技だ。

kaz




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