ピアノのある生活、ピアノと歩む人生

「ピアチェーレ」代表の私的ブログ

鬘の人たち 

 

今はどうなのか知らないが、昔は音楽室に作曲家の肖像画が飾られていた。左端にいた「鬘の人たち」、ヴィヴァルディ、バッハ、ヘンデル、もう少し右の人たちも鬘だったような気もするが、いわゆるバロック時代の作曲家は鬘の人たちなんだという印象を小学生だった僕は持ったものだ。

この鬘の人の作品、いわゆる正統ピアノ道を歩んだ人、まずは音楽室ではなくピアノ教室のレッスン室でご対面したのではないだろうか?昭和の時代ということを考えると、おそらく、その作品はスカルラッティ(ドメニコの方ね)ではなく、バッハのインヴェンションとか。僕自身はバッハを習ったという経験はないので、当時のピアノ教室で聴こえていたバッハから想像すると、それは多少(かなり?)学習バッハサウンドだったように思う。「ここに主題が出てくるの。もっと強く」「ペダルは使わないで」みたいな乾燥バッハ(?)だったような?コツコツ、カツカツ・・・のような?

むろん、そのサウンドは「素敵!」というものではなかったが、根底には、それなりに「当時の楽器」「当時のスタイル」というものを優先していたように思う。それ自体は悪いことではないのだろう。

僕の場合、鬘の人の作品としては、鑑賞者としてヘンデルから入った。ここが真面目なピアノ道を歩んだ人とは異なるのかもしれない。ヘンデル、「調子のよい鍛冶屋」ではなくオペラから入った。特にマリリン・ホーンの歌唱に惹かれた。

マリリン・ホーンのヘンデル、凄く魅惑的で闊達だった。そして小学生だった僕はこう思ったのだ。「鬘の人(バロックの人とも言う)ってお茶目!」と。厳格な(?)昭和バッハ指導を受けた人は、バッハのインヴェンション、「お茶目!」「楽しい!」などと感じながら弾いていたのだろうか?

スカルラッティと言えば、ドメニコではなくアレッサンドロを連想するような少年、つまり歌の世界がピアノ(鍵盤楽器)よりも身近であったので、バロック=闊達、華々しい、挑戦的・・・のような、ちょっと変わった感覚を持ってしまったのかもしれない。

当時の、オリジナルの、つまり原典というものを尊重する。楽譜の研究とか、当時のスタイルに忠実にとか、研究が進んだ。それは現代の演奏スタイルがバロックに限らず、ザハリヒなものになっていったことと無関係ではないだろう。それはそれで素晴らしい。個人的にはザハリヒなスタイル、もうこれは限界かな・・・などと昨今の演奏を聴くと感じたりするが、それは個人的な好みの問題もあるだろう。どちらがいいとか、そのようなことではないのだろう。

でも、当時の再現・・・その「当時」というものが、特に鬘の時代のそれにおいて、やけに禁欲的ではないだろうか?いかにも古っぽくというか?

当時の踊りを考えてみましょう・・・確かに有益だとは思う。「クーラント」とか「アルマンド」を弾くのには、欠かせない情報であり、学習ではあろう。重い、パニエバリバリのドレスで情熱的なタンゴは似合わないし、踊れない。そうなのだろう。でも「いかにも昔」のような演奏が正しいのだろうか?正しいのかもしれないが、現代人の我々が「おっ?これは凄い」と思うような闊達なバロック時代の作品の演奏に出会ったら、それは現代感覚のものであり、当時のスタイルと、もし異なっているのだとしたら、それは価値のないものなのだろうか?声楽のバロックは、あれほど生き生きと人間的であり、闊達であるのに、どうして鍵盤楽器のバロックは「いかにも古っぽく」という演奏が多いのだろう?それは鑑賞者としての素朴な疑問でもある。

鑑賞者としての素朴な疑問は他にもある。ショパンなど、かなり即興性のある演奏をしていたらしい。ヴァリアント盛りだくさん・・・のような?そうだとしたら、当時のスタイルに忠実ということは、研究成果の高いエディションに印刷されているように演奏する、この行為は当時のスタイル、原典に忠実と言えるのだろうか?ショパンコンクールでヴァリアント満載の演奏をしたら、はたして予選通過できるのだろうか?現在でもベルカントオペラでは普通のことなのだが・・・

先のカルミニョーラ問題(?)について考えてみても、カルミニョーラが現代的・・・なのではなく、ヴィヴァルディは当時、非常にホットでポップな音楽であったのではないかと想像してみたら?想像としては非常に面白い。もしかしたらカルミニョーラは当時の再現に近いのかも?「いかにも古式」という演奏よりも・・・

ジャン・ロンドーという演奏家、この人の演奏って大胆だな、闊達だな、挑発的だなと感じる。現代の僕に直接訴えてくるような?演奏しているのはジョゼフ=二コラ=パンクラス・ロワイエという作曲家の曲。「スキタイ人の行進」というタイトル。スキタイ人って?ロワイエさんで何処の国の人?

ブルボン王朝の人らしい。ルイ15世の子どもたちの音楽教師だったとか?そうすると、ルイ16世、マリー・アントワネットの親世代が習った人ということになる。

重いドレスだったのではないだろうか、鬘だって相当な重さだったはずだ。むろん飛行機もないし、馬車だったのだろう。パソコンもCDもない。ゆったりした時間が流れていたのだろう。

でも闊達な時代であったのかもしれないよ。

kaz




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