ピアノのある生活、ピアノと歩む人生

「ピアチェーレ」代表の私的ブログ

人を愛し、音楽を愛し・・・ 

 

作曲家の小林秀雄氏は「私は、わかりやすく、明るい音楽を好みます。そして粗雑で軽薄な音楽を嫌います」と書いている。ここでの「明るい」は短調は暗い、長調は明るいといった意味での「明るい」ではないような気がする。

我が国では深刻ぶった音楽や、歌詞の内容やそれを歌う表現目的などが全く伝わってこず、難しさのための難しさでできている曲が量産され、評価される傾向にあります。そうかと思うと、技術よりも心などと言い、技術の拙劣さを心や情緒の話にすり替えてしまいます。この小林秀雄氏の言葉、分けるなよ、カテゴライズして物事を簡単にするなよと言っているようにも思える。

小林氏は親交のあった野上彰の「落葉松」という詩に感銘を受け、一気に曲を書き上げたらしい。野上彰がこよなく愛した軽井沢の光景、その印象なのだろうか・・・

「落葉松」   詩:野上彰

落葉松の 秋の雨に
わたしの 手が濡れる

落葉松の 夜の雨に
わたしの 心が濡れる

落葉松の 陽のある雨に
私の 思い出が濡れる

落葉松の 小鳥の雨に
わたしの 渇いた眼が濡れる

人を愛し、そして音楽を愛し、ただそれだけが彼を動かした。早朝のアルバイトをしながら学費を払い、芸大卒業後も音楽とは関係のない仕事をしながら、奨学金を返済し、そして生活した。でも彼は音楽を愛し続けたのだ。

やっとこれから・・・という時に、癌が彼を襲った。「なぜ僕が?」「なぜ今なの?」そう感じたのではないだろうか?非常に珍しい骨の癌だったようだ。

彼の「落葉松」は心に滲む。彼は秋田県出身。音楽の夢をあきらめきれず、仕事を辞め上京した。この動画は彼の故郷、秋田でのもの。秋田のアトリオン音楽ホール、ここは秋田では最も大きな由緒あるホールなのではないかと思う。そこで歌える喜び・・・

この歌唱、進行する癌を食い止めるために、足を切断した後だったのだろうか?彼は義足で舞台で歌い続けていた。片足を切断しても歌い続けていた。30代で亡くなっているはずだ。志半ばだったのだろうか?そうかもしれない。でも思う。これは人を愛し、音楽を愛した人の歌なのではないかと。

「人と音楽を愛する熱い心があるならば、明るい、わかりやすい音楽を、正確にして正格な技術で演奏する。内容や心はそれに乗って滲み出てくる。これが音楽です」   小林秀雄

kaz




にほんブログ村


ピアノ ブログランキングへ
スポンサーサイト

category: 未分類

tb: --   cm: 0

△top

コメント

 

△top

コメントの投稿

 

Secret

△top