ピアノのある生活、ピアノと歩む人生

「ピアチェーレ」代表の私的ブログ

客席との対話 

 

本番での演奏、暗譜で演奏すべきなのだろうか?「リヒテルは楽譜を置いていた」「現代でもメジェーエワは楽譜を置いている」

コンクールや入学試験ならともかく、普通の演奏会ではどちらでもいいのではないだろうか?大切なのは演奏なのだから。

昔、まだピアノを再開していない頃、あるサロンコンサートに誘われて聴きに行ったことがある。フルートのコンサートで、僕はフルートは特に好きでもなかったが、ノルマがどうこうという知人に説得され聴きに行った感じだ。演奏者はプロだったのだろう。経歴は忘れてしまったが、東京○術大学卒業、○○に所属・・・みたいな経歴だったろうか?たしか3000円のチケットを買った気がする。

演奏そのものは、特に可もなく、不可もなく、普通に吹いていたというものだった。「なんじゃこれ?」という印象はなく、普通だった。ただサロンコンサート、50人程のキャパの会場だっただろうか、そのせいもあったのだと思うが、あることが気になり始めた。最初のバロックのソナタあたりでは、あまり気にならなかったのだが、プーランクのフルート・ソナタあたりで気になり始めた。後半の、いわゆるフルート名曲集みたいなコーナーでは、非常に気になり始めた。曲としては「アルルの女のメヌエット」とか「ユーモレスク」とか、そのような曲。アンコールでは、たしかクライスラーの「美しきロスマリン」が演奏されたが、僕はこう感じてしまったのだ。

「暗譜すればいいのに・・・」

彼女は、すべての曲、アンコールまで含めて楽譜を見ながら演奏していた。管楽器の場合、あるいは弦楽器の場合でも、ピアノ独奏よりは楽譜を見て演奏するということは多いような気がする。まぁ、曲にもよるだろうが。ソロといっても、ピアノのように全く一人ではなく、伴奏者とのアンサンブルという面があるからだろうか?

何が気になったのだろう?楽譜を見た、見ないということではないように思う。客席と演奏者が常に分断していた印象があるからだと思う。なんとなく、常に彼女は楽譜を「ガン見」していたという印象を持ったから。

聴き手が「置いていかれている」という印象?舞台と客席とでの対話が感じられなかった。演奏そのものに起因しているものだろうが、視覚的要素もあったのではないだろうか?

譜面台に楽譜を置く、置かないではなく、置いたとしても「ガン見」状態で、演奏者=楽譜=鍵盤というところを行ったり来たりしている印象でなければいいのだ。聴き手というものが、そこに加わってほしいというか・・・

完璧に暗譜しました・・・という場合でも、演奏者=鍵盤というだけで、やはりそこに聴き手というものとの対話が欠けている印象を与えてしまっては、暗譜しようと「ガン見」だろうが、聴き手としては同じような印象を持ってしまうのではないか?

ピアノという楽器は、客席を向かない楽器だ。基本的には横の姿だけをお見せすることになる。対話というのは、何も客席を向いてニタッと笑うことではないだろう。でも対話しやすい楽器ではないのかもしれない。

声楽は対話しやすいのではないだろうか?楽器は自分の体だけで、手に何かを持っているわけではない。自由に動き回ることも可能だ。ピアノでは不可能だけれど。

でも、やはり「音楽」なのではないだろうか?

演奏者=楽器・音楽=聴衆・・・音空間、音時間として溶けるといいのだと思う。

kaz




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コメント

 

対話

そういえばピアノより、バイオリンやフルートのほうが譜面見ていますね。
> 伴奏者とのアンサンブルという面があるからだろうか?
でもー
バイオリンやフルートの人が見てる譜面は、ピアノ部分書いてないし、アンサンブルだからってことはないような気がします。

暗譜はピアノより簡単だけど。

単なる習慣の問題? あと、譜めくりがピアノより簡単(そんなにしょっちゅうめくらなくていいし、めくるタイミングもたいていある)だから暗譜へのモチベーションが高くないのかもしれない

そういえば先日行った内藤晃コンサート(ピアノ)では楽譜ありでした。ただし、譜面台は立てないで寝かして、その上にぺらりと楽譜を置いてる感じでしたけど。誰も「オイ暗譜しろよ」って思って見てなかったと思うんです。内藤先生は特に、「客席と対話」してる雰囲気がある人ですし…

そのフルートのコンサートの場合は、まさに、客席との間に壁がある感じだから気になったんでしょうね。

アンダンテ #WDOkdukc | URL | 2016/12/12 12:42 | edit

アンダンテさま

コメントありがとうございます。

視覚的印象というものはあるかもしれません。ピアノの場合、どうしても譜めくり回数が多くなるので、譜めくりの人の動作、立ったり座ったりという動作が、曲のよっては気になったりするのかもしれない。また譜面台から溢れんばかりのコピー譜・・・なども、ちょっと現実的な感じ、例えば、テープで張り付けましたみたいなものが見えてしまうのも気になったり・・・

ピアノ以外の楽器の場合、譜面台を通して、楽譜のバーコードなどが見えてしまうと、現実感が出てしまい、舞台とか衣装といった非日常的要素とは合わない印象を与えてしまう・・・とか。

ピアノは客席に対して横を向いてしまうので、あまり感じないのかもしれませんが、多くの楽器は客席を向く。意外と「目のやり場に困る」という人もいるかも・・・なので楽譜・・・そんなことないかぁ・・・

要は演奏そのものがどうなのか・・・ということなのでしょうが。

kaz #- | URL | 2016/12/12 18:28 | edit

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