ピアノのある生活、ピアノと歩む人生

「ピアチェーレ」代表の私的ブログ

中傷メールと韓国のハンちゃん 

 

自分のリサイタルについて、意気込み(?)とか演奏する曲についての想いなどをブログで綴ろうと思うのだが、その想いをストップさせるものが、いわゆる中傷メール。

「あの程度でリサイタル?」みたいな凹みメールですね。「ピアチェーレで演奏を実際に聴きましたが、目茶目茶で全然弾けてないじゃないですか?」このようなメールを読むと、さすがに凹む。

傷つく・・・というほどではないのかもしれないが、不愉快ではある。

「そんなぁ・・・お耳汚しで申し訳ありません」とか「全然弾けないんですけどぉ・・・リサイタルなんて本当はしてはいけないレベルなんですけどぉ・・・」と言っていれば、もしかしたら中傷メールは読まなくてもすむようになるのかもしれないが、心から「良かった」「素晴らしかった」と言ってくれた人だっているのだ。

ある方のアドバイス。「中傷的なメールなどではなく、自分のことを絶賛してくれた人の言葉を心の宝物にしましょう」というもの。僕の演奏を聴いて「ピアノ、辞めようと思っていたけど、辞めるのやめる」と言っていたなどという言葉を間接的にでも知ると、そりゃあ「弾いてよかった」と思うものだ。

来年の2月には小規模なリサイタル、サロンコンサートのようなものだが、やろうと思っている。約20名の方から申し込みがあり、無料の演奏会だけれど、まぁ、完売・・・ということになる。その人たちは、わざわざ僕の演奏を聴きに来るわけだ。「そんなぁ・・・まだまだ未熟でお耳汚しなんですけどぉ・・・」では聴きに来る人に失礼ではないか・・・

もう10年近く昔になるだろうか?僕はアメリカデビューをしている。まぁ、あるピアニスト主催の小さな会で弾いただけなんだけど。そこで知り合った人とはメールなどで今でも交流がある。アマチュアとして音楽を愛し、弾かずにはいられない人、プロの人、専門的にピアノを学ぶ人と様々だ。

「ピアノが辛くて辞めようと思っていました。でも、あなたの演奏を聴いて心が変わりました。演奏によってこんなに心が動いたのは初めてです。人の感情を動かすことのできる演奏って初めてです。ピアノであんなことができるなんて・・・・」ある少女、中学生ぐらいだっただろうか、東洋人の少女が興奮気味に僕の演奏後に話しかけてきた。

「私、韓国から勉強に来ているハンといいます。あなたは、こちらで活動されているのですか?」
「いやいや、アマチュアとして日本でサークル(通じなかった。サークルって?みたいに)で演奏しているだけですよ」
「そんなの変ですね。演奏活動しないなんて。ファンもできるんじゃないかしら?」
「ピアノ・・・辛いの?」
「親の期待もあって、そこが辛い。でも今日の演奏を聴いて、私も人の心を動かせる演奏をしたいと思いました」
「ピアニストになりたいの?」
「今まではそうではなかったけど、あなたの演奏を聴いて、ピアニストになりたいと思いました」

「あなたは日本のお兄さんみたい」

ハンちゃんからすると、お兄さんではなく父親のような年齢だと思うが、日本のオジサンではなくお兄さんと呼んでくれたのが嬉しかったりした。嬉しがるところが違うとは思うが。

今でも韓国のハンちゃんとはメールのやり取りが(頻回ではないが)ある。「お兄さん、私、カーティスに受かったの!」「すごいじゃないか」「私、修士はジュリアードにしようと思う」「すごいじゃないか」

頑張っているんだな。韓国の人って子どもに賭けるよね。そんな風に思っていた。ハンちゃんの方から「これが私の演奏。聴いてね♡」というものは今までなかったので、ハンちゃんの演奏を僕は聴いたことがなかった。でも先日、偶然に彼女のユーチューブを見つけてしまったのだ。

「あれ?これ・・・ハンちゃん・・・だよね?」

成長した韓国のハンちゃんの演奏を聴いて、僕は泣いてしまいました。

「素晴らしい演奏をありがとう!」
「いやだ・・・ちょっと恥ずかしいな」

ハンちゃんの言葉、自分の羞恥心とか、イヤな思いをしたくない、つまり中傷メールのために軽く扱うのは、つまり自分でかみしめないのは、やはり違うのかなと思った。

「私・・・あなたの演奏を聴いてピアニストになりたいと思いました」この言葉は僕の財産ではなかろうか・・・

kaz




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category: リサイタル

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コメント

 

いいですね~

ピアノ・ソロでのガーシュウィン、初めて聴きました。

いいですね~ (背景のお話も含めて・・・)

それにしても、こんなに至近距離で聴けるなんて最高でしょうね!
舞台が遠いコンサートでは味わえない音楽の勢いを肌で感じられるように思います。(映像で見て、かなり、しんどい曲だということもわかりました)

CDや大ホールでのコンサートの音にはどうしても不満が残ります。
だから私は、自分の目の前でピアノが鳴り響くのが好きなだけでピアノを弾いてます。(下手ですが音には満足してます)

かおるPf #X.Av9vec | URL | 2016/12/07 19:09 | edit

かおるPfさま

これからの時代、演奏者の息遣いまで感じられるような親密な空間での演奏会、サロンコンサートやホームコンサートのようなものが増えてくるのではないでしょうか?

ザハリヒな聴き方というのでしょうか、専門家の研究の成果を素人が広い空間、コンサート会場で拝聴する・・・というのとは別の聴き方。またロマンティックな時代がやっってくるのかもしれません。

kaz #- | URL | 2016/12/09 08:07 | edit

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