ピアノのある生活、ピアノと歩む人生

「ピアチェーレ」代表の私的ブログ

罪のようなメロディー 

 

二曲目、ラフマニノフの「ヴォカリーズ」この曲のメロディーは非常に美しい。ラフマニノフ最上のメロディーかもしれないなどと個人的には思う。ここまで美しいと、それはもう罪・・・

会場の雑司ヶ谷音楽堂は小さな会場ということもあり、ステージ(客席との段差はないが)から客席がよく見える。いっそのこと客席が遠く真っ暗の方が演奏する側としては演奏しやすいのかとも思うが、結構聴いている人の顔とかよく分るのだ。弾いているときにはさすがに見ないけれど。

一応、演奏会だから、聴きに来てくれた人も「外出です」的な服装はしている。華美ではないけれど、普段着でもないような?とても幸せそうに見えるんだな。「弾かない人は気楽でしょうよ」とか、そのようなことではなく、聴き手の各人生が穏やかであるような印象。そりゃそうだろう。悲痛な面持で演奏を聴く人なんていないだろうから。でも、それぞれ顔には出さないし、言葉にも出さないけれど、色々とあるんだろうなと思う。死んでしまいたくなるような薄幸さ・・・ではないかもしれないが、苦しいこと、押さえ込んでいること、あるだろうな・・・と。僕はそのような時、音楽に助けられてきたような気がする。音楽にはそのような光があるのだと・・・

一筋でいいから、たった一瞬の光でいいから、僕から音楽として何かが届けばいいと思う。むろん、実際に弾きながら「あそこに座っていたAさんは」などと思って弾いているわけではないが、自分がかつて感じたものを、今度は・・・みたいな野望(?)はある。一生単位で、できればいいことなんだけど。

ラフマニノフの歌曲は大半は亡命前のロシア時代に作曲されたもの。「ヴォカリーズ」ももちろんそうだ。ラフマニノフにとって歌曲はロシアそのものだったのではないだろうか?

亡命後、ラフマニノフは、なかなか作曲をしなかった。友人であるメトネルが質問したんだね。「何故再び作曲を始めないんだね?」と。むろん、ピアニストとしての活動が超多忙ということもあったのだと思うが、彼はメトネルにこう答えたのだそうだ。

「もう長い間ライ麦のささやきも、白樺のざわめきも聴いていないんだ。僕にはもうメロディーがないんだ・・・」

この曲をパラパラと、ただ弾いてしまっては、それこそ罪であろう。この曲は「泣き」が欲しい。演奏しながらな泣くのではなく、音が泣く・・・

個人的に理想の「泣きヴォカリーズ」は残念ながらピアノバージョンではなく、オリジナルの声楽でもなく、ヴァイオリン。ナージャ・サレルノ=ソネンバーグ、今一つ日本では知名度が低いというか、知ってはいても、あまりお好きではない崇高な人が多いようなのだが、僕は大好き。音が泣いてるよ・・・

やはり、このメロディーは罪だと思う。

kaz




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