ピアノのある生活、ピアノと歩む人生

「ピアチェーレ」代表の私的ブログ

メロディーは死滅していない 

 

今度の土曜日、26日がピアチェーレの本番。人並みに(?)緊張したり、どうしよう・・・などと感じているべきなのかもしれないが、まだその実感はない。今のところは、聴いている人が退屈しなければいいなと。自分がどう弾けるかとか、そんな感じではない。あと数日すると、自分都合の感じ方、聴いている人がどう・・・ではなく自分がどう・・・となっていくのだろうか?

思いつくまま、自分の演奏する曲などについて書いてもいいかもしれない。でも、曲の調性や形式など、そのようなことをツラツラと書いても面白くないような?まぁ、重要なことではあるけれど。

一曲目、ヘイノ・カスキの「夜の海辺にて」だが、この曲は結構有名なのではないだろうか?発表会などで演奏されることも多いような?でもプロのピアニストのリサイタルで主要レパートリーとして演奏されるという曲でもないような?何故だろう?カスキの曲に限らず、サロン風と分類されるような曲は、今のリサイタルでは、あまり歓迎されないのだろうか?

カスキは同じフィンランドの作曲家、シベリウスと同じ年、同じ日に亡くなっている。むろん、シベリウスは国葬。でもカスキの死は新聞の片隅に小さく掲載されただけであったという。作曲家、ウーノ・クラミはカスキについてこのように書いている。「無数の湖の悲しみを音楽で伝えた最後の作曲家。そして、もはや過去の人である」

クラミの予言(?)どおり、カスキの名前、曲は急速に忘れられていったようだ。フィンランド内では知られた存在だったのかもしれないが。

革新的なこと、カスキの流儀ではなかったのだろう。様々な音楽への実験、試み、時代は革新の波があり、カスキのような曲は時代遅れとされてしまったのかもしれない。このようなことを書いていて、ある作曲家を連想した。それはトスティ。カスキよりも時代は前になるが、トスティも革新的に進むというよりは、時代の主流に逆らってでも美しい、ロマンティックな曲を書き続けた人だ。そのような点でカスキとトスティはロマンティックな人たちだったのかもしれない。

トスティの曲は、とても20世紀まで生きた人とは思えないほど甘美で美しいメロディーに溢れている。300曲以上の歌曲をトスティが書き続けていた頃、ストラヴィンスキーの「春の祭典」だのスクリャービンのピアノソナタなどは、世に出ていたのだ。それらの音楽からすると、トスティの歌曲は前時代の遺物なのだろうか?サロン風音楽は時代遅れ?

トスティの歌曲、今でも大変有名だ。その点でカスキとは多少異なる。何故だろう、二人とも時代に逆行するような音楽を書いたのに。何故にピアノのカスキは「知る人ぞ知る」的で歌のトスティは有名だったのか・・・

トスティって声楽を学ぶ人が必ず通る道というか、教材になっている。ごくごく初歩とされる人でも古典イタリア歌曲集(実はアリアだが)をある程度こなすと、「次はトスティの○○という曲をやりましょう」となるのが普通らしい。トスティが風化されなかった一つの理由ではあるだろう。ピアノでも耳ダコの曲というか、超有名曲は人前では弾きにくいとされているようだが、トスティを人前で歌うとしたら、そのような意味では「幻想即興曲」を人前で弾くよりもトスティ歌曲は勇気が必要かもしれない。例えば、声楽の演奏会、聴き手の大半は声楽家、声楽を学んでいる人ということになると、聴衆の多くが歌手の歌うトスティはすでに暗譜で歌っている可能性が非常に大きいのではないかと思われる。これは辛い・・・

もう一つの理由、そしてこちらの理由の方が重要だと思うけれど、カスキの曲は偉大なピアニストたちが演奏してきた歴史はない(とは言えないかもしれないが、少ないとは言える)が、トスティ歌曲はカルーソーをはじめ、彼の芸術を受け継ぐような偉大な歌手たちが演奏会や録音でトスティ歌曲を大切に大切に歌い継いできた歴史がある。カルーソーが歌う自作の曲をトスティ自身も聴いていたはずだ。その歴史、伝統が現代にも引き継がれているのでは?

ピアノのリサイタルよりも、声楽(歌曲)のリサイタルの方が、大曲至上主義ではないというか、どこかサロン風な趣を現代でも残しており、そのようなこともあり、声楽の世界ではトスティは超有名人であり、トスティ歌曲は超有名曲なのではないかと・・・

時は現代、一人ピアノと対面しながら、ヘイノ・カスキの小品を弾く。何故かトスティを弾いている気分になってくる。20世紀にも、このようなメロディーが紡がれていたのだと・・・

メロディーは死滅したのか?聴き手が「あら、素敵なメロディーね」「哀しげで心に訴えてくるメロディーね」と感じたのだとしたら、現代でもメロディーは死滅していないと思う。そう切望する・・・

kaz




にほんブログ村


ピアノ ブログランキングへ
スポンサーサイト

category: ピアチェーレ

tb: --   cm: 0

△top

コメント

 

△top

コメントの投稿

 

Secret

△top