ピアノのある生活、ピアノと歩む人生

「ピアチェーレ」代表の私的ブログ

切望 

 

ホセ・クーラに「アネーロ」というアルバムがある。副題というか、日本語のタイトルが「切望」となっている。切望・・・熱望よりも、さらに苦しいような、痛いような希望だろうか?

ステファン・チファレッリ、ベルギーのテノール歌手。日本では無名だと思うが、ヨーロッパではブッファものを中心に活躍している。かつて聴いたニコライ・ゲッダの歌声に憧れ、彼もまた歌手を目指した。

オペラ歌手って華やかなイメージだが、ピアノなどの器楽奏者と異なることがある。それは歌手にはコンクールを制覇し有名になる人よりも、端役から主役へと、下積み経験を経て地位を確立していった人が多いということ。次の契約というのだろうか、「また歌って下さい」「今度はうちの歌劇場で歌って下さい」というものが無い限り、歌手生命は終わるのだ。厳しい世界だと思う。

まず要求されるのは、安定性ということ。調子の良い時ばかりではないだろう。また歌手は、器楽奏者よりも、はるかに体調が演奏に反映されてしまうところがある。ステファンも、まずはその安定性、いつでも、どこでも歌えるタフさ、一定のレベルを維持することに奮闘するようなところがあったと言う。オペラって、つまりアンサンブルだから、自分の失敗や不出来が自分だけの問題ではないのだ。そこが辛かった。プロとはそのようなものなのだろうが・・・

「失敗は許されないのだ」「体調不良は自己管理力に欠けているからだ」「一定以上のレベルをいつでも・・・」

ステファンは、いつのまにか忘れていたものに気づいたと言う。かつて憧れたニコライ・ゲッダを聴いた時の自分、あの時感じたものを忘れていたと。それがアネーロだったと・・・

息苦しいほど、痛いほどの希望、憧れ・・・アネーロ

一部のエリートだけが再現できるもの、それを成し遂げた人をプロと呼び、人の心を動かせるのはプロだけである、この考えは寂しさを感じる。アネーロを感じ、自分を抑えられないほどの憧れを持つから、その思いが何らかの形で人に伝わるのではなかろうか?

kaz




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category: あっぱれ麗し舞台

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