ピアノのある生活、ピアノと歩む人生

「ピアチェーレ」代表の私的ブログ

なぜ「ユーモレスク」はピアノで演奏されないのか? 

 

ドヴォルザークの「ユーモレスク」、実は8曲ある。フィルクスニーの演奏で有名な7番以外のユーモレスクを聴いてみた。フィルクスニーはチェコのピアニストなので、ドヴォルザーク作品の録音に熱心な印象だ。他にはロシアのフリエールなども、まとまっての録音があり、ユーモレスク以外のピアノ曲も聴いてみた。

どの曲も「民族衣装を着た人々が楽しげに舞い踊る」・・・という印象。民族的な雰囲気は感じるが、ショパンのように一晩のリサイタルで・・・というの厳しい印象だ。ずっと舞い踊られていると飽きてきてしまう。ただ、有名なユーモレスクの7番も「民族風」というか、最初のタッタタッタ・・・というリズムを楽しげに表現する演奏もありなのだなとは感じた。でも有名な7番、この曲だけ「いきなり歌が始まる」という印象があり、少し他のドヴォルザークのピアノ曲とは趣が異なるようにも感じた。

ドヴォルザークって、基本的にピアノの人ではなかったのではないだろうか?ピアノというよりは弦の人?

7番のユーモレスクは、他のドヴォルザークのピアノ曲よりは、当時から人々に知られていたような気がする。どこか「歌」の要素が強く、陽気な舞曲というだけではない切なさのようなものも感じる。特に中間部とか。メロディーもキャッチ―な感じで、スッと馴染んでしまうというか?他のピアノ曲から、あまり旋律美は感じない。

ユーモレスク、なんとなく最初のタッタタッタ・・・のリズム、またドヴォルザークが汽車に乗っている時に着想されたなどというエピソードから、必要以上に「さあ、弾んだリズムで楽しく弾きましょう」となりがちなのではないだろうか?割と発表会での動画でその傾向が強いような?「弾んで・・・」みたいな?楽譜から、記号からの情報だけだとそうなるのか?でもこの曲、ポコ・レントなんだよね。

この曲はピアノ曲としてよりも、ヴァイオリンの曲として演奏されることが多い。ピアノ曲としては、誰でも一度は聴いたことのある曲にも関わらず、リサイタルなどで演奏されることは、まずない。でもヴァイオリンではしばしば演奏されるし、録音も非常に多い。

もともとドヴォルザークは弦発想の人だったとしたら、彼自身はピアノ曲として書いたとしても、そこに弦ならではの表現でこそ表出される魅力が存在していた、作曲者自身でさえ意図しなかった弦ならではの魅力がピアノ曲に潜んでいた・・・ということもあるのかもしれない。

フリッツ・クライスラーが編曲し、演奏、その録音も残っている。クライスラーの演奏が素敵すぎたのだ。歌と切なさが強調され、ユーモレスクはクライスラーによってヴァイオリン曲として人々の印象に残るようになっていった・・・

違うかな?クライスラーの演奏、もう圧倒的魅力に溢れている。

ユーモレスクは楽しげ、ユーモア・・・というよりは、どこか切ない郷愁を感じる。北欧の曲のように孤独に自然と対面するのような、凛とした感じともまた違う。絶望とか、悲壮感とか、そのようなものとも違う。

「今の僕は幸せだ。自分の選択でこの国に来た。自由だ。そのことが幸福感を生み出してくれるのだろう。この地で死んでも悔いはないだろう。僕は幸せだ。でも幸福感に浸りながらも、時々、捨ててきた故郷のことを想いだす。帰りたいとは思わない。それは違う。でも浮かんでくる。母の作ってくれたピエロギの味、小麦畑に沈んでいく夕陽、もう会うことのない懐かしい人々の顔・・・それらのものが僕を切なくさせる・・・」

こんな切なさではないだろうか?郷愁かな?

誰でも知っている曲、超有名曲。でもピアノで演奏されることは滅多にない。オリジナルはヴァイオリンではなくピアノなのに・・・

その理由を考えてみた。そして「弦発想の人」「クライスラー」ということを感じた。

kaz




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コメント

 

ありがとうございます

またまた貴重な動画、ありがとうございます。

ポルタメントが効いてますね。

趣味でピアノ弾いてますが、聴くのはヴァイオリンばっかり。
(あと、ヴィオラ・ダ・ガンバ)

速弾きピアニストばっかり注目される近頃ですが、聴く側としては脳の処理能力が追いつかず「わ~ん」と鳴っている「効果音」のように感じます。

遅いことの美学はチェリビダッケとマル・ウォルドロンが教えてくれました。

「一音入魂」です。

KPf #G0VbINhw | URL | 2016/10/09 13:01 | edit

KPfさま

コメントありがとうございました。

マル・ウォルドロンって、たしか晩年のビリー・ホリデイと共演していた人だったでしょうか?今度じっくりと聴いてみたいと思います。

ありがとうございました。

kaz #- | URL | 2016/10/09 15:48 | edit

御参考までに・・・ サティ

御参考までに・・・ サティ

https://www.youtube.com/watch?v=I8qJMqD1d54
右手左手のタイム感覚が絶妙。

https://www.youtube.com/watch?v=ppguMAJiqK8
絶妙な「ため」

以下、場違いかも知れませんが・・・
https://www.youtube.com/watch?v=5wYyMG2KerQ
https://www.youtube.com/watch?v=rhLLKakG1Bw
https://www.youtube.com/watch?v=QKfWH4mD_08
https://www.youtube.com/watch?v=oCtrorExUPQ
https://www.youtube.com/watch?v=l7w8Wb5_aZA

KPf #- | URL | 2016/10/09 19:36 | edit

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