ピアノのある生活、ピアノと歩む人生

「ピアチェーレ」代表の私的ブログ

廉価版の男 

 

ドビュッシーの前奏曲集や、スクリャービンの5番以降のピアノソナタ、おそらくどんな名演奏でも、どこか退屈してしまうかもしれない。演奏がどうこうというよりは、この場合、曲とに距離感を感じる。簡単に言ってしまえば、あまり好きではないということなのかもしれない。メシアンの作品なども苦手だ。

小学生の頃に聴かせてもらったドビュッシー、「映像」の第1集、「喜びの島」、そして「版画」。このあたりはドビュッシーでも親近感を感じる。その時の演奏はフランソワだったと思う。中学生になって、「ドビュッシーの他の作品も聴いてみなければいかんな・・・」と思い、レコードを探した。

自分の小遣いでレコードを購入するというのは、中学生にとっては大変なことだった。フランソワのレコードを探したが、やはりちょっと手が届かない値段だった。というよりは、知識欲でレコード購入となると、あまり積極的に貴重な小遣いを浪費したくはないというセコイ思いがあったのだと思う。「なるべく安くすませたい」ふと、横を見ると、非常に安価なレコードがあった。いわゆる、廉価版と呼ばれるレコード。

今でもCDが山積みになっていて「セール」という札があったりする。そんなコーナーにあるようなレコードではあった。

演奏者はフランソワ=ジョエル・ティオリエ。聴いたことのないピアニスト。僕の中でティオリエ=廉価版ピアニストというレッテルが出来上がっていたように思う。「とにかく曲を知りたいんだ。演奏はどうでもいいんだ。第一、凄く安いし・・・」

ティオリエのドビュッシー、演奏に関しては記憶はあまりない。演奏に対して判断などできなかったということもあろうが、「ドビュッシーって、ちょっと苦手かもしれないな」と生意気にも感じてしまったのだ。どの曲もフワッと同じような曲・・・みたいな?

廉価版の男・・・として僕が認識していたピアニスト、実はもう一人いる。レナード・ぺナリオ。ぺナリオのレコード場合は、いわゆるショーピースと言われる、僕にとっては聴きやすい曲ばかり収録されていたので、中学生時代の愛聴盤だった。でも凄くレコードが安かったんだよね。たたき売り状態?ぺナリオの演奏はティオリエのドビュッシーで感じた「なんだかどの曲も曖昧、不思議な浮遊感?」のような欲求不満は感じなかったけれど、やはり廉価版のピアニストとして認識してしまったのだ。正規の値段で売っている有名なピアニストよりは劣っているのだろう、僕が感じないだけで、気づかないだけで・・・

アメリカに住んでいた時、アメリカでのぺナリオの評価が非常に高いのに驚いた。むろん、アメリカでもぺナリオに対して「ラウンジピアニスト」という偏見を持っている人もいたと思うが、少なくとも有名ではあった。「ぺナリオ?ラブリーだよね!」そうか、僕と同じように素敵だなと思う人も沢山いるんだ・・・

そんなこともあって、廉価版のティオリエに関してもドビュッシー以外のレコードを探したりしたが、なぜか僕には見つけることができなかった。「名前からしてフランス人?でも有名ではないのか?だから廉価版なのか?」

フランソワ=ジョエル・ティオリエ・・・演奏がどうというよりは、中学生時代の想い出のようなピアニスト、名前だけ記憶に残っているピアニスト・・・

最近、偶然にティオリエの演奏を見つけた。「ユーチューブって本当に便利だねぇ・・・」と思う。探したわけではない。偶然にヒットしたのだ。最初は名前を意識せずに聴いた。「ああ、この人、いいな、この人の演奏、凄く好きだな」と直感的に思った。それがティオリエの演奏だったのだ。

40年近く、彼のことを「廉価版ピアニスト」と記憶していたこと、申し訳ないと思った。

kaz




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コメント

 

はじめまして。下手なピアノが趣味の喜八と申します。
ティオリエの名を発見して嬉しくて出てきました。

ティオリエのことを知ったのは、ある日ユーチューブで偶然発見したドビュッシーのピアノ曲の演奏でした。そのビデオには奏者の名前が表示されてなくて最初はだれの演奏かわからなかったのですが、検索で何とかティオリエの名にたどりつき、CDを購入しました。

ドビュッシーの曲はこれまで色んな奏者で聴いてきましたが、ティオリエの演奏には、おお、こんな弾き方があったのか、という新鮮な驚きがあって、僕の耳にはとても個性的に響きました。

一口に個性的な演奏と言っても、奏者の我が前面に出すぎて食傷してしまうものもありますが、ティオリエの演奏は内面から自然な歌心があふれてくるようで魅力的だと思います。

ティオリエの業界内の位置づけはさっぱり知りませんが、ある演奏を好きになるかどうかは、本当に奏者の有名度とは関係ないですよね。

喜八 #- | URL | 2016/07/14 21:46 | edit

喜八さま

コメントありがとうございます。「内面から自然な歌心があふれる」僕もそう感じます。また個性的とも感じます。

僕はドビュッシーは苦手な方なので、色々なピアニストを聴き逃しているかもしれません。

kaz #- | URL | 2016/07/15 22:09 | edit

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