ピアノのある生活、ピアノと歩む人生

「ピアチェーレ」代表の私的ブログ

「ぞうさん」と「憾」 

 

介護スタッフには若い人も多い。まだ10代です・・・なんて宇宙人のようだ。気づいたのだが、彼らは昔の曲というものを知らなかったりする。全員ではないけれど。「銀座カンカン娘?聴いたことないです」みたいな感じ?この時代の曲なら分からないでもない。でも「瀬戸の花嫁?小柳ルミ子って誰ですか?」となると、こちらとしては宇宙人みたいだ・・・と思う。歌謡曲ならそんな状態もまだ分かるのだが、童謡とか唱歌も知らなかったりする。やはり高齢者相手の仕事なのだから、少しは知っているべきではないだろうか?

・・・などとオジサンとしては感じたりするが、そういう自分も童謡や叙情歌をよく知っているかと問われれば「はい、もちろんですとも」とは答える自信はない。

「ぞうさん」という童謡がある。

ぞうさん ぞうさん
おはなが ながいのね
そうよ
かあさんも ながいのよ

ぞうさん ぞうさん
だあれが すきなの
あのね
かあさんが すきなのよ

この曲の作曲者は團 伊玖磨なのだそうだ。知らなかった。作詞者は、まど・みちおという人。それを知っているだけだったら、「あらぁ、知識豊富ねぇ・・・」というだけなのだが、この「ぞうさん」の詞には、強烈なまでのメッセージが託されているのだそうだ。たしかに歌詞から、そのメッセージ性を(そのことを知れば)感じることができる。

作詞者の、まど・みちお氏は「ぞうさん」の歌詞についてこう述べている。

ぞうの子は、鼻が長いねと悪口を言われた時に、しょげたり腹を立てたりする代わりに、お母さんも長いと誇りを持って答えた。そしてお母さん大好き・・・と。それはぞうが、ぞうとして生かされていることを素晴らしいと思っているから。目の色が違うから、肌の色が違うからこそ素晴らしい。違うから仲良くしようよ・・・ということです。

知らなかった・・・

梶原 完とか久野 久といった日本のピアノ界の創成期のピアニストに関する書物を再読したりしている。むろん、明治と昭和と時代は異なるが、日本国内で才能があるとされ、世界を征服するのだと日本を旅立った。本場で彼らは通用したのか?本場の当時の一流の演奏を聴いて、彼らは何を感じたか?一般的には、このようなピアニストを語る時には、日本の後進性というものと合わせて語られる。「当時は騒がれても今のレベルと比較すらできないだろう」「ハイフィンガー奏法の哀しみ・・・」のような?

たしかに一種のカルチャーショックすら感じたであろう。その想像は難しくはない。でも本場ヨーロッパの演奏家にはないものを彼らは持っていた可能性がある。それは「憧れ」というもの。異文化である西洋音楽に憑かれてしまった極東の島国の自分・・・でもそのサウンドは、知ってしまったら決して捨て去ることのできないものでもあった。そのまま一気に進んだ。それは現在のクリティカルな視点で見れば、どこか的外れなものであったのかもしれないが、凄まじいまでの想いではなかったか・・・

日本のピアニスト、日本のピアノ曲に対して、自分はどれだけ知っているだろう、特に創成期の頃の・・・

憧れと自分に対しての確信だけで突き進んだ人たちの・・・

こちらは、童謡や叙情歌よりも、さらに知らないなと思う。

滝 廉太郎・・・「荒城の月」「花」ぐらいは知っている。ピアノ曲を残しているのも知っている。全音ピアノピースに、たしかあったと記憶している。でも聴いたことはない。滝 廉太郎についてもほとんど知らない。たしか若くして亡くなったんだよね・・・程度?

滝 廉太郎は本場ドイツ、ライプツィヒ音楽院に留学している。でも学んでいた期間は二か月程度だ。肺結核という、当時の不治の病を患っている。入院、そして失意の帰国・・・

東京で活躍することも、その体力もなく、両親の住む大分に移った。当時の状態に滝 廉太郎は満足していなかったものと思われる。「つまらん・・・つまらん・・・つまらん・・・」そう書き残している。

その頃に絶筆である、滝 廉太郎にとっては、白鳥の歌ともいうべきピアノ曲を残している。「憾」という曲。恨みでも怨みでもないのね。人を恨むということではなく、後悔すること。遺憾の「憾」で「うらみ」なのだそうだ。

こんな曲は知らなかった。むろん、ブラームスやベートーヴェンのピアノ曲と比較し、1900年を過ぎてのピアノ曲にしては・・・と日本の後進性を曲に見つけ出すこともできよう。でもこんな曲があったなんて・・・

「憾」の自筆譜のある箇所には「Doctor!  Doctor!」という走り書きがあるらしい。どんな意味だったのだろう?滝 廉太郎は23歳で亡くなっていることも知らなかった。

kaz




にほんブログ村


ピアノ ブログランキングへ
スポンサーサイト

category: 未分類

tb: --   cm: 0

△top

コメント

 

△top

コメントの投稿

 

Secret

△top