ピアノのある生活、ピアノと歩む人生

「ピアチェーレ」代表の私的ブログ

イギリス流儀 

 

今年のフィギュアスケート世界選手権、女子シングルでアシュリー・ワグナー選手が銀メダルを獲得した。キミー・マイズナー以来、なんと10年ぶりのメダル。ワグナー選手の演技に「アメリカフィギュアの復活」を感じた人も多かっただろうと思う。ワグナー選手の直接的な勝因はジャンプに安定性が増したことなのかもしれない。なんとなく3F-3Tという技に賭けているところがあって、それまでにも失敗はあったが、大舞台にむけて準備を怠らなかったという印象。本番でジャンプが成功し、それが結果につながったのは、サブ・コーチであるアルトゥニアンの力が大きかったのかもしれないが、ワグナー選手のメイン・コーチはジョン・ニックスであり、もともとワグナー選手から受ける印象としては、個人的にはジャンプよりも、音楽との融合のような表現力にあった。この部分ではジョン・ニックスの影響が相当あったのではないかと感じる。

「Almost girl」(もうちょっとの女の子)とワグナー選手はかつて呼ばれていた。才能はあるのに、ここぞというところで残念な結果に終わってしまうことも多かったらしい。「スケートはもういい・・・」そう思うこともあったという。そのような時にワグナー選手が頼ったのがジョン・ニックスだった。

ジャンプ、スムーズで流れるようなスケーティング、これらも素晴らしいが、何よりもワグナー選手の魅力は、音楽を生かしきった演技であると思う。この音楽の細部まで生かしきった演技・・・これは、かつてのイギリスの選手たちが最も得意としていたもののようにも思える。なので、個人的にはワグナー選手のメダル獲得、その時の演技から受ける印象としては「アメリカの復活」というよりは「イギリス流儀が生き残っている」という印象の方が強い。

イギリスの選手って最近誰が強いの???

イギリスのフィギュアスケート界は最近は低迷していると言っていいだろう。むろん、イギリス選手権は毎年開催されていて、イギリスチャンピオンは生まれている。でも世界での活躍は?

イギリスの2015~2016シーズンの女子チャンピオン、世界選手権には出場できていない。欧州選手権で29位。男子は世界選手権に出場した。しかし結果は22位。ダンスは少し強いだろうか?世界選手権で7位になっている。でも日本フィギュア界と比較したら、低迷していると言っていいだろうと思う。

でも、かつては違っていたのではないかと想像する。黄金期のイギリス流儀が世界に散らばり、まだ残っている・・・

ジョン・ニックスコーチはアメリカの選手を多く育てているけれど、イギリスのペアの選手だった。大昔のことで僕もその演技を観たことはないし、映像すら残っていないのかもしれない。1940年代から50年代に活躍したのではなかったか?たしか妹とペアを組んで世界選手権でも優勝している。オリンピックでは4位に入賞していたと思う。おそらく、コーチとしてアメリカに渡ったのだろう。優れたペアを育てている。タイ・バビロニア&ランディ・ガードナー、そしてクリスティ・ヤマグチ&ルディ・ガリンドのペア。シングルの選手ではサーシャ・コーエンを育てている。

なんとなく、音楽を生かしたスケート・・・という意味で、ワグナー選手とコーエン選手は似ているような気がする。「絶対にミスをしない安定度」とか「驚異的なジャンプの難易度」というところよりは、音楽の特性を生かしきった演技の魅力・・・

もし、コーチであるジョン・ニックスの影響があったとするならば、それは、かつての「イギリス流儀」ではなかったか?

ジョン・ニックスは、現在では90歳近いのではないだろうか?彼はワグナー選手に言ったのだそうだ。「僕も高齢だからね。もうかつてのように国際大会でいつも君と一緒に行動することはできないんだよ」と。「僕のところへ来てくれればいつでも教えてあげるよ」

ワグナー選手は、技術的サポートをラファエル・アルトゥニアン、そして「自分のスケートのあり方」というところで、ジョン・ニックスを頼ったのかもしれない。イギリス流儀を・・・

これはワグナー選手ではなく、ジョン・ニックスの教え子、サーシャ・コーエンの演技。音楽を生かしきっている。イギリスのかつての名選手の演技、イギリス流儀を感じる。

kaz




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category: The Skaters

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