ピアノのある生活、ピアノと歩む人生

「ピアチェーレ」代表の私的ブログ

奇跡と誇り 

 

今から20年前、ルディ・ガリンドは全米選手権を制した。同じ年、世界選手権でも銅メダルを獲得した。本人もビックリっだったのかもしれないが、周りもビックリしたのではないだろうか?誰も、彼が全米選手権で優勝できるなんて予想していなかったから。

ルディ・ガリンドの全米でのフリー演技は、自分が元気を貰いたい時に観たりする。ただただ「オーラが凄いな!」などとも思う。競技生活において、最高の舞台で、最高の演技をする、その秘訣みたいなものに興味はあった。この演技はまさにそのような意味で奇跡のような演技だからだ。

ルディ・ガリンドは、かつてはペア競技の選手だった。パートナーはクリスティ・ヤマグチ。全米で二度優勝し、世界選手権でも、これまた二度5位になっている。実に立派な成績だ。クリスティがシングルに専念することになり、ルディもシングルの選手として現役を続行することとなった。元パートナーはどんどん成長していき、世界選手権でも、そしてオリンピックでも金メダルを獲得した。シングルに専念したのが良かったのだ。しかし、ルディは低迷してしまう。国内大会でも成績が振るわず、全米選手権のメダル、世界選手権などは夢のまた夢・・・

ペア時代の実績があったことで、ルディは余計に苦しんだのではなかろうか?クリスティに対しても応援してはいただろうが、複雑な思いもあっただろうと思う。

予想外に(?)健闘しショートを終えて3位で迎えたフリー。誰もルディが優勝するとは思わなかった。ここまで来られただけで奇跡なのだと・・・

振付師のローリー・ニコルが興味深いことを言っていた。「選手はその時に幸せでないとジャンプの成功率が低くなる」と。そんなものかもしれない。「どうしよう?」とか「どうせ自分なんて・・・」と少しでも感じてしまったら終わりだろうしね。

1996年の全米選手権、ルディ・ガリンドは幸せだったのだろうか?そのようには見える。ジャンプはもちろん、すべての動作に自信が満ち溢れている。オーラを発し、観客を虜にしてしまっている。

でも、なぜこの時にそれが起こったのか???

この演技は大好きなので、今までにも何回も観ている。今回気づいたことがある。「随分とゲイテイストを感じるプログラムであり、衣装だな」と。むろん、キス&クライの場面などでも感じることだが、ルディはゲイである。それまではどうだったのかは知らないが、少なくとも、キス&クライ、そして演技終了直後、ルディは自らがゲイであることを隠してはいないように見える。興奮して思わず・・・だったのかもしれないが、でもどうなのだろう・・・

ルディがゲイであることを公表し、さらにHIVに感染していることをも明らかにしたのは、世界選手権後、プロに転向する時だったように記憶している。全くの個人的憶測だが、全米選手権の時、ルディは自分が感染していることを知っていたのかもしれない。「同じ病気の人たちに勇気を与えたい」と公表時に語ったルディだが、この奇跡の演技の時にはすべてを知っていたのかも?

なのでセクシャルマイノリティであるゲイという自分らしさというものを、それこそ全面に押しだした。音楽も振付も衣装も髪型も・・・

ルディは幸せだったのか?自分らしさを正直に出せたのだったらそうだろう。ここまでジャンプが軽々と跳べているのだからそうなのだろう。でも幸福感というよりは、誇りを感じていたのではなかったか?なんとなくそう思う。

衣装で感じた。ゲイっぽい衣装というと、ヒラヒラフリル満載の王子様的な衣装を連想しがちだが、むしろこの時のルディの衣装のようなシック系の衣装にゲイテイストを感じてしまう。

ネックの部分と袖の部分だけが白い。ネックの部分なのだが、遠目だとホワイトリボンに見える。これは意図的なデザインだったのではないだろうか?ホワイトリボンにはいろいろな意味合いがあるが、その中の一つにセクシャルマイノリティであることで悩み、自殺をしてしまう若者を阻止したい・・・という意味がある。この衣装はルディのメッセージでもあり、自らを誇りに思えた証だったのかもしれない。

1996年、全米選手権男子シングル・フリー・・・ルディ・ガリンドは誇りを感じていたのではあるまいか?

kaz




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