ピアノのある生活、ピアノと歩む人生

「ピアチェーレ」代表の私的ブログ

小さな空 

 

武満作品の、ある種の「逃げていく」ような感覚、感情をストレートに出さない感覚、日本人のような感覚、ルカの言うように、この感覚はヨーロッパ人、イタリア人には遠い感覚なのだろうか?

幼い頃の想い出、想い出すと、胸に微かな痛みを、ほろ苦さを感じるような感覚、この感覚は日本人だろうと西洋人だろうと持っているのではないかと思う。歌曲というよりは、どこか童謡のような純粋な世界、武満徹の歌の世界、この感覚はイタリア人のルカにだって理解できると僕は思う。

ルカは長男、つまり家業の跡継ぎと家族内では認識されていたので、他の兄妹よりは厳しく育てられたらしい。「なんで僕だけ怒られるんだ?」ルカは両親、特に母親に反抗することもあった。「弟たちには、あんなに優しく抱きしめてあげるのに、僕にはお小言ばかりじゃないか」

ソレントの高台にある自宅からナポリ湾を望む港に行き、一人、ずっと海を眺めていることもあった。「振り向いて欲しかったんだな、きっと・・・親にはそんなこと絶対に悟られたくなかったけど」そう、この感覚じゃないか?言えない・・・言いたいけど心の中で逃がしてしまう・・・みたいな?イタリア人の子どもだって感じるこの感情は武満ワールドにも通じているのでは?

ある時、ソレントの港からルカは一人でフェリーに乗ってしまった。帰りのフェリー代は持っていなかった。でも乗ってしまった。行先はナポリ。いつもは暗くなる前に帰ってくるのに、その日は帰ってこなかった。

さすがにルカの両親も動揺した。「誘拐?それとも…家出?あの子はそんなことする子じゃない。血の巡りが良すぎるけれど、でも家出なんて・・・じゃあ・・・誘拐?」

警察を巻き込んでの騒ぎとなった。近所の人も総出で捜索してくれた。「ルカらしき子がナポリ行のフェリーに乗ったらしい。誰かと一緒だったのかは分からないみたいだ」「えっ、なんでナポリなんかに?もう真夜中じゃない!ああ・・・もしあの子に何かあったら・・・」

「自分はとんでもないことをしてしまったのかも?でもマンマは僕のことを心配なんかしていないかもしれないな・・・」

「君、なんで一人でいるんだい?君、ルカじゃないか?」警察官だった。ルカは警察に保護された。

あの時の母親の平手打ちは生涯忘れられないとルカは言う。両親とも何も言わなかった。ルカも何も言えなかった。ぶたれた後、強く強く抱きしめられた。ルカも両手で母親の腰を抱きしめる。みんな、何も言わなかった・・・

この時のルカの感情は、武満ワールドに通じているんじゃないかな?日本人だけのものではないんじゃないかな?


「小さな空」  曲:詞 武満 徹

青空みたら 綿のような雲が
悲しみを乗せて飛んでいた
いたずらが過ぎて 叱られて泣いた
子どもの頃を おもいだした

夕空みたら 教会の窓の
ステンドグラスが 真っ赤に燃えてた
いたずらが過ぎて 叱られて泣いた
子どもの頃を おもいだした

夜空をみたら 小さな星が
涙のように 光っていた
いたずらが過ぎて 叱られて泣いた
子どもの頃を おもいだした





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