ピアノのある生活、ピアノと歩む人生

「ピアチェーレ」代表の私的ブログ

黄金時代 

 

僕が音楽開眼したのは1970年代ということになる。その頃はアルゲリッチ、ポリーニ、そしてアシュケナージなどが大活躍していた頃だ。でも彼はそのような当時のスターではなく、黄金時代のピアニストを僕に聴かせてくれた。

「当時は蓄音機で皆が聴いていた時代なんだ。さすがに音質は古めかしい感じだけど、僕はこの時代がピアニストの全盛期だと思ってるんだ。今のピアニストを君も聴くようになると思うけれど、まずは黄金時代を聴いてみて欲しいな・・・」

ブライロフスキーのワルツの次に彼が聴かせてくれたのが、モリッツ・ローゼンタールというピアニストの演奏だった。当時の僕はローゼンタールはもちろん、アルゲリッチもポリーニも知らなかったので、マニアが聴く特別なピアニストという感じではなく、ごく普通にローゼンタールの演奏を受け入れた。

最初に聴いたローゼンタールは、やはりショパンだった。「子どもにもショパンなら聴きやすいだろう」と彼は思ったのかもしれない。ノクターンOp.9-2も日頃彼が愛聴していた曲ではないように思う。でも紹介したかったのだろう。

曲は知っていた。僕の持っていたレコードにも収録されていたし、発表会で「上手なお姉さん」がこの曲を弾いていたからだ。「ショパンって素敵だな・・・」などと少しだけ思ったが、そのお姉さんの演奏は子どもだった僕でも、どこか拙さを感じた。左手が機械的だったのだ。ブンチャッチャッ・・・ズンチャッチャッ・・・

この曲は4分の3拍子ではなく、8分の12拍子なのだが、そのような知識はなくても、お姉さんの演奏はどこかおかしいと思ったりしたものだ。

「この人はね、あのリストの弟子だったんだよ・・・」

音楽史の知識も皆無だった僕は、リストに習ったような人の演奏を聴ける・・・なんていうことが信じられなかったが、その演奏は僕を圧倒してしまった。

彼の聴かせてくれた演奏家は、いわゆる古い時代の演奏家が多かった。今でも僕はこの時代の演奏家が好きだ。この時の影響なのか、僕がもともとそのような演奏が好きで、彼がそのことを見抜いたのか、それは分からない。

でも僕のことを「子ども扱い」せず、クラシックを聴かせてくれたこと、それも、いかにも子ども向きの名曲ではなく、ローゼンタールを聴かせてくれたことに僕は今でも感謝している。

この曲も左手だけ練習したなぁ・・・右手のメロディーはローゼンタールのものを想像しながら・・・

kaz




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