ピアノのある生活、ピアノと歩む人生

「ピアチェーレ」代表の私的ブログ

昇天練習法 

 

最近は声楽のコンサートでもソプラノ○○、伴奏○○という表現の仕方はしなくなったように思う。伴奏ではなく、ピアノ○○のように表現するのが一般的ではないかな?声楽に限らず、器楽でも同様だと思う。あまり「伴奏者」という言葉は使わなくなってきた。あくまでも、ピアニスト・・・

いいことだと思う。昔は伴奏○○と明記されればいいほうで、歌手の名前しか書かれなかったりした時代もあったらしい。ジェラルド・ムーアに「お耳障りですか」という著書があったと思うが、時にはユーモラスに、時にはシニカルに当時の状況を綴っていて、大変に面白い本だったと記憶している。昔はテレビでの放送時は、ピアニストの姿が見えないように、大きな花瓶で隠されてしまったこともあったとか?歌手たちは共演者としてムーアを尊敬しているのに、周囲はそうではなかった。「私のピアノはお耳障りですか?」と言いたくもなろう。

ピアノって難しい曲を弾くことが多いように思う。基本的にはレッスンで弾く曲というのは、合格した曲よりも高度な曲を弾いていくのが基本的な流れなのだろうから、常に自分にとって難しい、新しい課題に取り組むような形に必然的になる。注意しないと、目的が「弾けるようになる」ということに向きすぎになる可能性がある。本来は、その曲が弾ける・・・ということよりも、音楽的に何を吸収していくかのようなことが重要なはずだ。でも、なかなかそこには到達はできない。開き直って「プロになるわけじゃないんだしぃ・・・」とか「音大に行くわけじゃないんだしぃ・・・」となってしまう。ああ・・・なんて寂しい言葉だろう!もっと寂しい言葉は「才能が違うのね」とか「レベルが違うからぁ・・・」のような言葉。

ピアノの人って右手ばかりさらうような気がする。つまり左手が担当している骨格の部分を軽くみている。右手の複雑なパッセージばかりさらいたがる。音楽的には「飾り」なのかもしれないのに。

「ああ、こんなに練習しているのに、なんだかただ弾いているだけ、音を並べてみただけのような演奏になってしまう」という場合は、骨格の左手の部分を音楽的に弾けているのかチェックしてみるといいと思う。以外と「えっ?私ってこんなだった?」みたいなことになっているのではないだろうか?

声楽曲や器楽曲(ピアノ以外のね)のピアノパートを弾いてみるというのも、いい練習になるような気がする。個人的には器楽曲よりは声楽曲の方が「音符は数少ないけれど、最高峰の芸術曲」という曲が多いように思う。器楽の曲って、ソナタとかソロ並みにメカニカルな曲も多かったりする。

シンプルな曲を弾いてみるということで、例えばギロックのような曲を弾いてみるのもいいだろうが、この場合は落とし穴があるような気がする。ギロックのような教育作曲家の曲って、懐が深いというか、情が厚いというか、「なんとなくさまになりやすい」ようにできているように思う。ピアノって楽しめればいいじゃん・・・であればそれでもいいが、シンプルな芸術曲を弾いてみた方が自分の欠点を把握はしやすいのではないだろうか?

例えば、このような曲。リヒャルト・シュトラウスの「あしたに」という歌曲。ピアノパートは超シンプルというか音符が少ない。バイエル後半よりも音そのものは少ないと思う。初見で弾けてしまう人も多いだろう。

でも素敵に弾ける?「なんだか変だわ・・・音は弾けるけど・・・」となる場合、何が変なのか考えてみる、自分の耳で聴いてみるというのも練習なのではないだろうか。

ジェラルド・ムーアは、このシュトラウスの「あしたに」という歌曲のピアノパートを「壊れ物、取扱いに注意・・・というラベルを貼っておきたいような曲だ」と言っている。

おそらく、和声は絶妙なれど、音符としてはソナチネやブルグミュラーよりも数は少ないはずだ。黒い楽譜ではなく、白い楽譜。でも「いい感じじゃない?」と自分で思えるように弾けるだろうか?

ベイカーの歌唱も見事だけれど、ムーアのピアノが素晴らしいね!!!

歌詞はこんな感じだ。

「あしたに」   詞:ジョン・ヘンリー・マッケイ

そしてあした、太陽は再び輝くだろう。そして私の歩いていく道を照らすだろう。
再び、あの人に会えるだろう。光に満ちたこの地上で・・・

そして広い、青い波の打ち寄せる浜辺に私たちは降りていく。
私たちは黙って瞳をみつめ合う・・・
そして物言わぬ喜びが私たちに降り注ぐ・・・

なんとなく、愛の喜び、恋人たちの歌・・・とも解釈できようが、僕は愛する人を失った人間が、後追い自殺をする曲のようにも感じてくる。深読みしすぎだろうか?

シュトラウスの曲は、まるで生命を終えた肉体だけを地上に残し、魂が光に包まれながら点に昇っていくいくような感覚に満ちているようにも思う。

ムーアのように弾けるだろうか?いい練習方法だと思うが・・・

kaz




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