ピアノのある生活、ピアノと歩む人生

「ピアチェーレ」代表の私的ブログ

コンクールに咲き、そして散る・・・ 

 

コンクールという場での演奏は、本来はそこが到達点ではなく、あくまでも演奏家としての出発点、経過地点であるに過ぎない。でもそのコンクールという場で生涯最高の演奏をしてしまう・・・ということもある。非常にこれは珍しいケースだろうとも思う。いや、結構多くあるケースなのかもしれない。そのような人は、徐々に忘れられていき、10年後には「あの人は今?」的な存在となってしまう・・・このような人って多いのかもしれない。次から次へと新たな優勝者は輩出されるわけだし・・・

コンクールでの演奏だけが後世に語り継がれているピアニストがいる。最初はスティーヴン・ハフのことを調べていて、そのピアニストの名前を知った。「テレンス・ジャッド賞」という賞をハフは受賞している。

テレンス・ジャッド???

1978年のチャイコフスキー・コンクールのコンテスタント。チャイコフスキー・コンクールに限らずだが、この頃は年末の紅白歌合戦ではないけれど、現在とは比較にならないほどコンクール、その結果・・・というものが重要視されていたように思う。威厳さえあったし、優勝者はいきなりスターとなり輝いていったものだ。現在の演奏界を支えているような中心的な人は、この頃までのコンクール優勝者なのではないかとも思う。

この時のチャイコフスキー・コンクールの優勝者はプレトニョフ。上位入賞者の名前を見ると、この回は比較的に「あの人は今?」的な人は少なく激戦だったのだと想像できる。テレンス・ジャッドはこの時のコンクールで第4位に入賞している。とても微妙な順位ではあるが、この時の予選、本選を含め、コンクールでの彼の演奏、そのライブ録音は、とても素晴らしい。

よくあるような「とてもよく弾けているけれど、別にあなたでなくても別のCさんでも聴けるわね」という演奏ではなく、テレンス・ジャッド・・・あなたでなければ聴けない・・・という演奏なのだ。包み込むような、温かく手を差し伸べるような演奏というよりは、どこか孤高に、孤独に演奏しているような?

コンクールでのライブ録音では、ヒナステラとバーバーのソナタが絶品のように感じる。特にヒナステラのソナタでは、彼の演奏を知ってしまうと、ちょっと他のピアニストの演奏では満足できなくなってしまうのではないだろうか?バーバーのソナタ、特に終楽章のフーガでは、「憑かれたような」という言葉を連想してしまうほどだ。

テレンス・ジャッドはチャイコフスキー・コンクール入賞の翌年、突然失踪し、全裸死体で発見された。自殺だったのか、事件に巻き込まれたのかは分からなかったらしい。

テレンス・ジャッド・・・享年22歳。

コンクールでの演奏がこれからも語り継がれるピアニスト・・・

kaz



にほんブログ村 クラシックブログ ピアノへ
にほんブログ村


ピアノ ブログランキングへ
スポンサーサイト

category: ピアニスト

tb: --   cm: 2

△top

コメント

 

こりゃ!すごいですね!超越してますね。

こりゃ!すごいですね!超越してますね。初めて知りましたこのピアニスト!!

もう少し年を重ねたらソフロニッキーになっていたかも?(少しタイプは違いますが)
言われているようにバーバーもいいのですが
Prokofiev piano Concerto No. 3 のLIVE がYOU-TUBEにありました。
こちらでもすごさが伺えます。 

ぶんぐやさん #- | URL | 2015/10/12 22:18 | edit

ぶんぐやさま

ジャッドの演奏、つまりチャイコフスキー・コンクールでの演奏はCDで聴くことができます。どこか同じイギリスのジョン・オグドンのチャイコフスキー・コンクールでの演奏を彷彿とさせるような・・・

オグドンもコンクール後はいろいろとありましたねぇ・・・

kaz #- | URL | 2015/10/12 23:28 | edit

△top

コメントの投稿

 

Secret

△top