ピアノのある生活、ピアノと歩む人生

「ピアチェーレ」代表の私的ブログ

教師自身が伝えたい何かを持っているかどうか・・・ 

 

なぜピアノ教師はピアノを弾かなくなる人が多いのか・・・という記事を書いて、多くのメールを頂いたりしている。様々な理由があるのだろうが、その中の一つの理由として、ピアノ教師自身が音大という機関で受けてきたレッスンというものを100%肯定できていないというものがあるのではないか。ピアノの先生が音大で授かってきた、日本的ピアニズムというか、ガンバリズムピアノというか、そのようなものがあるのでは?「私が伝授されてきた素晴らしい伝統を、今度は自分が伝えていく」とは思えない何か・・・

音大の先生って、僕が思うに、割と保守的なところもあるのではないかと思う。むろん、音大のレッスンを見学したわけでもないし、そうではない音大の先生もいるだろうとは思うけれど、戦後の西欧に追いつけ、追い越せ的な「ザ・日本ピアノ」的なピアニズムをまだまだ引きずっているような先生も音大というところには存在しているのではないか・・・

「鍵盤の底までカーンと鳴らして」「ドイツ的にカッチリとね・・・」

真面目な音大生になればなるほど、心の底では疑問に思うはずだ。「えっ?ホロヴィッツはそう弾いてはいないけど?」「コルトーはそうではないけど?」のような疑問を持ったとしても「先生、コルトーは先生の仰るように弾いてはいませんけど?」などととても言えないような厳格な師弟制度的な雰囲気があったりする。そのようなことが重なって、音大生は卒業時に「私が授かったものを伝授していこう」というようには思えなくなってしまう。

音大を卒業してしまえば、いきなり現実の世界が待っている。基本的に音大では「困ったチャン」の指導法などというものは教えてくれないだろうから、自分で対処していかなければならない。「え~、ピアノって練習しないといけないの?」という生徒や「まっ、専門家になるわけでもないんだし~」という保護者とか、そのようなことと対面していかなければならない。加えて、新人ピアノ教師だから、ノウハウも持たないし、教材の知識も乏しい。

「○○指導法」「興味を持たせる指導法」「キラキラ瞳が輝くレッスン」「○○教材指導法」・・・などのセミナーは満載だ。とりあえずは必要なものだ。ピアノだけ弾いてきて、何も知らないんだもん、必要だ。そしてそこに猪突猛進していってしまう。

「すべての生徒をピアノ好きに・・・すべての生徒がキラキラ、ワクワク・・・」

僕はこの考えには疑問を持つ。中にはスポーツなど、ピアノ以外のものに才能を見出す生徒だっているだろうと思う。「ピアノは嫌いでもないけれど、私は新体操が好き」とか「僕は科学が好き」とか・・・そのような意味では生徒がピアノを辞めるということは自然なことなのだ。ピアノが世界を支配しているわけでもないのだから・・・

でも生徒が本当にピアノが好きだったら?

その場合、先生が初歩、導入指導のノウハウだけを追い続けていたら生徒は悲惨だろうと思う。そこには伝えるべき何か・・・というものが何もないから。先生自身が受けてきた伝統というか、ピアノの素晴らしさというか、そのような伝統の継承のようなものが存在しなくなってしまうから・・・

先生自身がピアノを追い続けてこそ成り立つものが伝統の継承なのだとしたら、先生自身が自分が授かってきたものを肯定できていなければ「伝えなければ」などとは思えないだろうとも思う。

「すべての生徒が専門家になるわけもないし・・・」「ピアノを習うって色々な目的があっていいはずだし・・・」

そうだとも思うが、でもそれは先生が選択することではない。生徒が選択することだ。

ヴラド・ペルルミュテール・・・この人に師事した日本人有名ピアニストは多いし、作曲者直伝のラヴェル演奏ということでもこの人は有名だろうと思う。パリ音楽院で長年多くの学生を育ててきたので、ピアニストだが、どこかピアノ教師という印象も強い。

ラヴェル直伝・・・という印象が強いのだが、この人はモシュコフスキとコルトーに師事している。思いのほかコルトーの影響もあるように思えたりする。演奏が似ているということでもないのだろうが、そのようなことが伝統の伝承なのだろうと思う。ペルルミュテールに師事したピアニストにジャック・ルヴィエというピアニストがいる。ルヴィエはグリモーやヴォロドスというピアニストを育てている。今の日本のピアノ教育に欠けているのは、このような伝承なのではないかとも思う。コンクールに入賞させたり有名音大に何人も合格させたりする教師が名教師ではない。伝統を伝えられる教師が名教師なのではないだろうか?無名であってもね。

教師自身が弾いていなかったら伝承はできないよなぁ・・・などと思う。ピアノに焦がれていたら弾くだろう・・・とも思う。

たまに「○○指導法」とか「グッズ研究」とか、セミナー内容を生徒に伝授したいのではないかと教師が思っているのではないかと錯覚してしまう時があったりする・・・

kaz



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