ピアノのある生活、ピアノと歩む人生

「ピアチェーレ」代表の私的ブログ

大人のギロック 

 

セルジオ・フィオレンティーノの編曲作品を彼自身の演奏で聴いていて、ふと感じたことがある。彼の編曲作品は、楽譜はシンプルだ。このシンプルな世界は彼の世界そのものであったのだと思うし、その世界は大人の再開者にとてもいいのではないかと感じたのだ。

「大人のためのピアノ曲集」のような楽譜もあればいいのに・・・と思う。むろん、大人になってから習い始める人用の楽譜はある。一本指で「喜びの歌」を弾いたりとか叙情歌を弾いたりとか、そのような楽譜。でもこの種のものは再開者向けではない。カラフルな導入期の楽譜は山ほど出版されているのに、たとえば30年ぶりに弾きます・・・とか、子どもの頃はソナチネを弾いていました・・・人向けの楽譜、探せばあるのかもしれないが、子ども用(というか導入期用)のそれと比較すると、今ひとつの感がある。

カラフルな子ども用の楽譜、そしてあとは演奏会でプロが弾くような、いわゆるスタンダードのクラシックのピアノの名曲となってしまう。その中で、たとえばショパンのワルツの弾けそうなものとか、チャイコフスキーの四季とか、メンデルスゾーンの無言歌からとか、その中から自分の力量に合った曲を弾いていくしかない・・・みたいな。なんだか、子ども用、導入用のものと比較すると、いきなり選択肢が狭まってしまうような?

「アルプスの夕映え」とか「乙女の祈り」はちょっとなぁ・・・でもショパンのバラードとかリストの曲は難しいし・・・という再開者も多いように思うのだが?

サロン風の曲?ロマン派の時代、ピアノを習っていた人、特に女性は多かったと想像する。それはブルジョワ家庭の子女に限られていたとは思うが、でも上達した人は多かったはずだ。ピアノ演奏がたしなみであった時代・・・

職業ピアニストになるということは、特に女性には難しく、時には「はしたない」とされていた時代、ファニー・メンデルスゾーンの伝記などを読むと、当時の時代背景が理解できたりするが、ファニー・メンデルスゾーンや、あるいはクララ・シューマンほどではなくても、卓越したピアノ弾きは多かったのでは?むろん、そのような人たちは今と同じように、上級のアマチュアとカテゴライズされていたのかもしれないし、リストのエチュードやショパンのソナタなども演奏していたのかもしれないが、その人たちが楽しんで弾けるような作品も書かれていたに違いないのだ。

でも、そのような作品は時代と共に消え去ってしまったのだろう・・・

誰か、そのような作品群を発掘し、出版してくれないかなぁ・・・などと思う。それらの作品は、ショパンやシューマンの作品と比較すれば、そりゃあ芸術度(?)は劣るのかもしれないが、きっと「いかにも初心者」とか「アマチュア専門」のようなサウンドではなかったはずだ。

子ども用の作品は選択に困るほどあるのだから、大人再開組用の作品も供給して欲しいものだ。需要はあると思うよ。

そのような意味で、フィオレンティーノは「大人のギロック」のような役割を果たしてくれる。フィオレンティーノ自身は、そのような目的で編曲したのではないと思うけれど・・・

kaz



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コメント

 

ギロックは

実は大人向きなんじゃないかな、って、思ってます。

私の生徒さん(成人女性)が、ギロックの叙情小曲集をレッスンでやっていて、仕上がりがとてもいいのです。
ブルグミュラーも、「18」や「12」は大人の方が弾いたほうが味がありそうな気がします。

サロン風の曲、ヨーロッパでも結構失われている楽譜があるという話も聞いたことがあります。いわゆる大衆文化っぽい扱いだったので、J-POPで爆発的にはやって廃れちゃった作品と似たようなことが言えるのかも?

なかつかさきこ #QFk3YRjk | URL | 2015/06/30 16:57 | edit

なかつかさま

ギロックという作曲家に対しての評価というか、感じ方の違いが、音楽を教える人と聴く人という立場では違うということに興味を覚えたりしています。僕は当然、音楽愛好家としてギロックを聴きますから、どうしても彼の作品は「教育作曲家」のものと思えてきます。むろん、子どもよりも大人のほうが仕上がりがいいということは理解できます。でも自分で弾いてみたいとは思えないところがある。実にいい曲なんだなぁ・・・とは思うのですが。このあたりのことは、ピアニストがギロックをリサイタルでは弾かない(弾いている人もいるのかもしれませんが)ということと関係しているかもしれません。アルゲリッチが、キーシンが自分のリサイタルでギロック・・・ということは想像しにくいです。

kaz #- | URL | 2015/07/02 02:54 | edit

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