ピアノのある生活、ピアノと歩む人生

「ピアチェーレ」代表の私的ブログ

壁に向かって歌った人 

 

これは、ごく初期の頃のバーブラ・ストライサンドの歌唱。歌っている曲から判断すると、「サードアルバム」の頃だろうか、全国的に名前が知られるようになった頃だと思う。最初のアルバムが、いきなりグラミー賞を受賞し、時の人となった頃でもある。でも出世作であるミュージカル「ファニーガール」の出演前だし、アカデミー賞を受賞する前で、この頃のバーブラは、まだまだ個性的な歌手として知られていたように思う。

たしかに個性的だ。演劇的と評する人もいた。バーブラの歌は「三分間のドラマである」と。たしかに、バーブラだけにしかできない歌い方というものを感じるが、個性的というよりは、当たり前のことだが、この時期から後年のバーブラの歌唱を特色付けている「強調」というものの巧妙な使い手という部分を確立しているのが驚きだ。

この強調の使い手ということだが、曲の中の絶妙なる部分を、多くの場合、絶叫せずに弱声で強調する技に長けているということだ。普通の優秀な、上手いわね・・・程度の歌手だったら、サラッと歌ってしまうところを、思いもかけない方法で強調表現してしまう。実は、バーブラの強調の巧みさに驚嘆したのは僕だけではない。バーブラに対しての「強調の巧妙なる使い手」という表現はグレン・グールドが語っていた表現だ。彼はバーブラの大ファンだったのだ。

これは天性の才能なのかもしれない。父親と上手くいかず、家を飛び出し、友達の所を渡り歩き、劇場の掃除婦などをしていた頃、彼女は友達の前で歌を披露した。壁に向かって・・・

「見ていられると歌えないの。後ろを向いて歌ってもいい?」そして彼女は壁に向かって歌ったのだ。その頃には、このような歌い方は確立していたのではないだろうか?バーブラは正規の音楽教育など受けてはいないのだから・・・

初めは小さなクラブで歌った。その歌が評判になっていった。「バーブラという変わった歌手がいるらしい・・・」「とても個性的なんだそうだ・・・聴いてみよう?」

徐々に有名なクラブで歌うようになっていった。人々はバーブラの歌に「個性」だけではない「強調の上手さ」を感じとったのではないだろうか?なのでバーブラは有名になっていった・・・

この「微妙な部分の強調」という技、ピアノを弾く際にも参考になるように思う。

偉大なピアニストもやっていることではないだろうか?

kaz



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category: Barbra Streisand

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