ピアノのある生活、ピアノと歩む人生

「ピアチェーレ」代表の私的ブログ

人前演奏回路の危険性 

 

サークルの演奏会まで、あと一か月を切った。リストの「メフィスト・ワルツ」を弾く。この曲は難しい曲として知られている。実際、難しいと思う。あと一か月と言っても、ピアノを弾ける時間などは限られているわけだ。当たり前のこととして、僕が最優先に考えることは、仕事のことであり、次が生活(身体のことも含む)のことだ。ピアノは優先順位としては、3番目くらいの位置づけとなるだろう。でも、人前で緊張して・・・という場面は、仕事でも生活の場面でも、そうそうあるものではない。だから心配になるのだ。

一か月後に暗譜で人前で弾く・・・ということはまだ実感できていない。なので、まだ気楽なところもあるが、譜読みそのものを終えていない箇所も多いのだ。「どうしよう・・・」とは思う。いつも思うけど・・・

「メフィスト・ワルツ」は難曲みたいなので、どうも「音を激しく並べました!!!」という演奏になりがちだ。そして聴き手も、その爆風(?)に「凄~い!!!」などと思ったりするのだ。でもピアノ演奏は曲芸ではないので、凄~い・・・ではなく、自分が意図した世界の表出を試みたい。

甘美な甘さ、ファム・ファタール的魅惑・・・

「メフィスト・ワルツ」では悪魔的な邪悪さを表面に出すのではなく、隠された妖艶さというのだろうか、どこか色っぽさを感じたいのだ。これは、かなり変わった感じ方かもしれないが・・・

むろん、早朝の草原・・・とか、ファミリーのピクニックのような、健全な世界ではないけれど、邪悪そのものでもない。なのでファム・ファタールなのだ。妖婦、男を破滅させる女・・・ファム・ファタール。でも彼女自身は普通にしているのだ。悪意があるわけではない。あまりに「この世と思えないような美しさ、非日常性」を感じさせてしまい、男たちが勝手に破滅していってしまうだけなのだ。これこそ「メフィスト・ワルツ」の世界なのだ。

ところが・・・

本番前になると、「ファム・ファタール」精神などは、どこかへ吹き飛んでしまい、現実感バリバリになってしまうのだ。「あそこが弾けない」「この跳躍がどうも・・・」「ああ・・・まだ譜読みもしていない」「ここは絶対に失敗しそうだ・・・」「本番・・・どうしよう?」「失敗してグチャグチャになってしまうのでは?」「どうしよう・・・どうしよう・・・」

でも、これって、表面上のことばかりなのだ。そして、人の演奏を聴く時には重要視しないようなことばかりなのだ。何故自分が弾く、特に人前で弾くという時に、このようなことばかりが気になってしまうのだろう?

隙間時間を見つけては、練習していくことになるのだろう。出勤前、早起きして練習したりとかね。そこまでして、練習を重ね、努力するにもかかわらず、そうすればするほど、自分の意図から離れていってしまい、弾けたの弾けないなどといった表面的なこと、聴いている人にはどうでもいいようなことに一喜一憂することになるのは、本望ではない。でもそうなりがちなのだ。練習すればするほど本来の自分の表現したいことから離れていくというのも、考えてみれば、おかしな話だ。

これは、アマチュアが陥りがちな危険性だとも思う。人前での演奏機会を確保しているアマチュアは結構いると思う。少なくとも、発表会での講師演奏しかしない・・・というピアノ教師よりは人前演奏の機会は多いような気がする。いいことのようにも思えるし、そしてその演奏の場は、たかがサークル・・・なのかもしれないが、定期的な演奏の場があるということは、思考回路が常に「人前演奏モード」「失敗したらどうしようモード」になりがちなのではないだろうか?これは危険だ。

人によっては、いくつものサークルに所属していたりすれば、週末はいつも「人前演奏」などという人も少なくないのではないかと思われる。売れているプロなみの演奏回数?

でも、常に「どうしようモード」「弾けるか弾けないかモード」になっているということは、本質を失う危険性も大なのではないだろうか?このあたりは難しいところだ。

表面上、ツラツラと弾けるようになる、このことだけだって大変なことだけれど、この部分は努力でなんとかなる。もっとも厄介な部分は「なぜ自分は音楽的に弾けないのだろう、人を惹きつける演奏ができないのだろう、なぜ音を並べていますという演奏になってしまうのだろう、なぜ取りあえず弾いてみました的な演奏から脱却できないのだろう?」という部分なのでは?多くのアマチュア(プロも?)はこの部分で悩んでいる。この部分の難しさの理由は色々とあるだろうが、まずは演奏者が常に「人前緊張モード」にいて、本質を追うことを忘れてしまっているということにも要因があるのかもしれない。

個人的に、最も「ファム・ファタール」的な魅力を感じる女優が、ヴェロニカ・レイク。40年代に活躍した女優なので、知らない人も多いのかもしれないが、僕はピアニストも俳優も「往年好み」なのだ。

でも、本番ではヴェロニカ・レイクの面影を追う・・・なんて余裕はなさそうだ。それが問題だ。

kaz



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