ピアノのある生活、ピアノと歩む人生

「ピアチェーレ」代表の私的ブログ

「She」 

 

クラシック音楽は不思議だ。好きな人は好きだけれど、どうも苦手な人が多いらしい。「僕の好みじゃない」ということなら分かる。他のジャンルの音楽、たとえばポップスの曲などは、そのように判断される。好きか好きではないか・・・

クラシック音楽は微妙なのだ。好きか嫌いか・・・ではなく「どうもクラシックは苦手でね。あのような高尚なものはよく分からなくて・・・」のように言う人が多い。好きでも嫌いでもなく、分からない、とか理解できないとか、難しいとか・・・

でも、その人は聴いて、何の感動もクラシック音楽から得られなかったという事実はたしかに存在する。でも、それは音楽が高尚で聴き手が低俗だから理解できないのだろうか?たしかにクラシック音楽は、すべての音楽ではないだろうが、ある種の理解力というか知識というか、そのようなものが必要だったりするし、そのようなものがあれば、さらに聴き方も変わってくる・・・のような面はあるだろうと思う。慣れも必要というか・・・

では、誰でも理解できる、何度も聴きこまなくても理解できる、いわゆるヒットチャートのようなものに登場するポップスのような音楽は、低俗なのだろうか?たしかにポップスは「形式」とか勉強しなくても、すぐに反応できる。「いいな」とか「なんだこれ?」のように。でもそれはクラシック音楽と比較して低俗だからなのだろうか?クラシックを苦手と言う人は、そのような感覚を持っているように思う。僕の周囲はそのようなクラシック嫌いの人が多い。

「いやぁ、聴いてみたけど分からないんだ。良さがね。僕には高尚すぎるし難しいんだよな」

演奏するのが難しい・・・なら分かるが、聴くのが難しい?

もしかしたら、全員ではないまでも、かなり多くのクラシックの演奏家にある種の傲慢さがあったりしないだろうかとさえ思う。これはクラシック通と呼ばれるような聴き手にも当てはまるかもしれない。どうして「この人の歌、いいな・・・」のように素直に感じることができないのだろうかと。

「上手、下手・・・」あまりにそのように聴きすぎないだろうか?そして演奏する側も「上手に弾けただろうか?」とか「あそこでミスしたし、思ったように弾けなかったかも」のようなことを思いすぎていないだろうか?いや、思ってもいいのだが、あまりに「聴いている人がどう感じただろう?」という観点が欠けてはいないだろうか?そこにある種の傲慢さを感じる。どのように演奏できたか、上手だったか、下手だったか・・・なんてすべて演奏者側のことではないか?

聴いた人がどう感じてくれたか・・・それが大切なのでは?クラシック以外の多くのジャンルの演奏家は、そこを捨ててはいないような気がする。

クラシックは難しい・・・

そう思わせてしまうのは、音楽が難しいのでも聴き手が低俗だからでもなく、もしかしたら演奏が退屈なのだからでは?「自分が自分が・・・」と思っている演奏者には感動することは難しいのでは?聴き手にも問題はあろう。なぜなら、ある種の「感心」を「感動」のように勘違いしてしまう聴き手も多いように思うから。

「あっ、いいな・・・」と感じ、涙する、あるいは、胸が熱くなる、胸が痛くなる、その音楽、その演奏は、その人にとって最高の音楽なのではなかろうか?

エルヴィス・コステロの「She」を聴いた。コステロって、「ロックの人でしょ?」のような先入観があり、彼がアズナブールの曲を歌うなんて、どこか想像できなかったのだ。大ヒットしたのは知っていた。でもそれは、映画のヒットの便乗ヒット(?)のようにさえ感じていたのだ。

素直に「いい曲だな、コステロっていい歌手だったんだな」と思った。もちろん「She」という曲のコード分解(?)をしたり、形式を調べて感動したわけではない。でも感動した。それでいいのでは?クラシック嫌いの人は、クラシックもポップスと同じように聴けばいいのに・・・とも思った。そしてこうも思っていいのではないだろうか?「クラシックは高尚だから・・・」ではなく、「もしかしたら、この演奏が良くないのかも」と。

「She」は歌詞にも惹かれる。

彼女は僕の生きる理由

死が訪れるまで君の姿を覚えている

彼女を守っていく

彼女は僕の人生そのものだから・・・

クラシック音楽が退屈で難しいのではない。クラシックの演奏家に退屈な音楽しか提供できない人が多い。だから、「う~ん、よく分からない・・・退屈かも・・・」と感じたら、別の演奏家の演奏を聴いてみよう。

○○音大を卒業しました、○○音楽院に留学、誰それに師事、○×コンクールに入賞・・・そのような演奏家の演奏よりもエルヴィス・コステロの「She」がいいと感じたのなら、コステロは、その人にとって音楽家なのだ。

kaz



にほんブログ村 クラシックブログ ピアノへ
にほんブログ村


ピアノ ブログランキングへ

スポンサーサイト

category: 好きな曲・好きな演奏

tb: --   cm: 0

△top

コメント

 

△top

コメントの投稿

 

Secret

△top