ピアノのある生活、ピアノと歩む人生

「ピアチェーレ」代表の私的ブログ

カナダからの手紙 

 

もうすぐ日本に帰国するわけだけれど、帰国はサークル練習会の前日、夜になる。むろん、疲れて寝てしまうだろうし、時差ボケで眠れなかったりしたら、もしかしたら練習するかもしれないが、体力的に無理ではないかとも思う。イタリア旅行と、今回のカナダ訪問の間には2週間ほどしか時間がなかったわけで、その期間でスケルツォの4番とは無謀な選曲なのだと思う。でもこの曲は全くの新曲というわけではないのだ。中間部だけは2年前に弾いたことがある。むろん、「素敵だなぁ・・・」と流して弾いただけで、きちんと弾いたわけではないし、この曲の難しさ、メカニカルな困難さは中間部ではない部分に集中しているわけだから、2週間では無理なのだ。そして、このような曲は短期間で無理やり仕上げる曲でもないのだ。

分かっているんだな・・・

でも、できないかもしれないが、やってみる・・・というスタンスは僕が癌だということと無関係ではない。この僕のスタンスはピアノの練習だけではなく、仕事や生活全般にも言えることなのだ。別に抗癌剤による治療を現在は受けていなくても、また開腹手術後ではなくても、「以前にはできていた、できると思っていたことが、実際には厳しくなっている」という場面は多いのだ。最初はこれが辛かった。できない・・・できないから修正・・・この繰り返しなのだが、やはりそこには「挫折感」というものが伴う。なので、初めからその挫折感を感じないで済むように、何事も「小さくまとめてしまう」という傾向にあるのだ。そうすれば、失敗も少ないし、挫折感もないし、なによりも現実を直視しなくても済むようになる。

でも、そのことも自分では分かっているんだな・・・小さくなっていくんだな・・・と。

なので、できないかもしれないが、○○をやるとか、行けないかもしれないが旅行の計画をするとか、そのようなことが僕にとってはとても重要なのだ。僕に限らずではないかな?癌患者なら誰でもそう感じているんじゃないかな?

別に僕が考案した練習方法ではないのだが、シュトイアマンの流派に属するピアニストたちが実行している練習方法を僕も行っている。短時間で効率的な効果が期待できる練習方法だ。具体的には、このブログの最初の頃に書いた記憶があるので繰り返さない。反復練習や、ゆっくりの練習ではなく、音の単位を一つ、一拍づつ増やしていく練習方法だ。シュトイアマン系列(?)のピアニストで、ピアニストとしては、あまり興味はないが、マーカンドレ・アムランなど、おそらくこの練習方法をしているのだと想像している。ブレンデルはインタビューで実際にこの練習方法を紹介している。

この練習方法で、とにかく「やってみたかった」というのがある。まぁ、無理でしょう・・・と目標値を低くしてしまうのではなく、できないだろうが、やってみる・・・という考えだ。実際にはスケルツォは弾かないだろうなと思ってはいる。疲れていると思うし、旅行から帰国翌日では弾き通す体力、気力はないだろうと思っている。でも、帰国してから決めるんだ。そこが大事。2週間、やってみた・・・という事実は残るでしょ?そこが大きい。ピアノ的には正しい感覚ではないが、癌的には正しいように思う。

2週間の練習で徹底したのは、シュトイアマン方式の他に「雁部式練習」と自分で呼んでいる練習方法。基本的に、反復練習というものは、手癖になる。そこを狙うわけだ。いつも同じように弾けるように練習するわけだ。でも本番というものは、「いつもと異なる状況」になる。なので手癖だけで弾いてしまうと崩壊するのだ。つまり練習で、何回弾いても同じように弾ける・・・というところを目標値としてしまうと、本番で困るわけで、むしろ「同じように」ではなく「違った状況でも変えて弾ける」のほうが大切なのだ。これが雁部式の考え方だ。これも徹底した。なので、19日にはショパンは弾かないだろうとは思うが、いいのだ。やってみる・・・ここが大事。

ピアノの知識と演奏―音楽的な表現のために (ムジカノーヴァ叢書)ピアノの知識と演奏―音楽的な表現のために (ムジカノーヴァ叢書)
(1999/06/01)
雁部 一浩

商品詳細を見る


カナダは空気が乾燥している。なので、とても爽やかで空気が軽く感じる。日本に帰ると空気が「ジメッ」とした感じなんだろうなと思う。すぐに慣れるんだけど、いつも帰国直後は調子が悪くなる。それも想定しなくてはいけないね・・・

さて、カナダのフィギュアスケート選手、やはりデヴィッド・ウィルソンを忘れてはいけないだろうと思う。選手としては紹介はできない。この人は振付師として有名だから。でも元選手ではあるのだ。彼は、幼い頃は、相当イジメにあっていたようだ。「人とどこか違う」ということは、やはりカナダでもイジメの対象になるのだね。彼はスケートを始めることで、「人と違う」ということが、いけないことではなく、むしろそれが大切なことなんだと知ったのではないかな・・・僕はそのように想像する。でも、彼は「オスグッド・シュラッター病」になってしまい、スケートができなくなってしまう。この病気はスポーツをする青少年に多い病気らしく、膝の脛骨が飛び出し、痛みを伴うものらしい。

スケート選手としてではなく、彼は振付師としてスケートと関わる人生を得た。彼が振付をしたプログラムは多いけれど、いつも感じていたことがある。それは、選手の短所を隠し、長所をアピールするプログラム、振付であるということだ。特に男子選手への振付では、選手に対しての愛情さえ感じる振付に思えてくるほどだ。

それはデヴィッド・ウィルソンのスケートに対する情熱、愛情が出ているからそう感じるのではないかとも思う。彼は選手と一緒にスケートをしているのだ・・・そう思う。

個人的に僕の最も好きなデヴィッド・ウィルソン作品は、ハビエル・フェルナンデス選手のこのプログラムだ。

選手への、そしてスケートへの愛を感じる・・・

kaz



にほんブログ村 クラシックブログ ピアノへ
にほんブログ村


ピアノ ブログランキングへ
スポンサーサイト

category: サークル

tb: --   cm: 0

△top

コメント

 

△top

コメントの投稿

 

Secret

△top