ピアノのある生活、ピアノと歩む人生

「ピアチェーレ」代表の私的ブログ

世界共通の愛 

 

留学は僕にとって遠い想い出だけれど、留学中に知り合った人は、現在も親友として付き合いの続いている人が多い。イタリア旅行に同行してくれたルカも、その一人だ。彼との共通点は、一度社会人として働いた後に、また学生として外国で学んでいたというところだと思う。僕と親しくしてくれるのは、その共通点があるから、年齢が近いということがあるからだと思う。そして、もうひとつ理由がある。

授業の宿題でレポート書きがあって、たしか課題は「死と西洋思想」というものだったように思う。日本語でも書けないなぁ・・・なんて思った。クラスメートたちは、キルケゴールやらニーチェやらの、「名前ぐらいは聞いたことはあるかも・・・」と僕が思うような人たちの思想をもとにレポートを書いていたように記憶しているけれど、僕はそのような高尚なものは書けないので、イタリア映画「鉄道員」をテーマにレポートを書いたのだ。

この「鉄道員」という映画は、ピエトロ・ジェルミが監督、主演をした古いイタリア映画で、一般的にこの映画は「家族愛」というものを描いた作品とされているが、僕は「安らかな死と家族愛」を根底に、イタリアの家族と、東洋の日本の家族との共通点を挙げて、西洋と東洋との共通点に結びつけた。むろん、未熟なレポートだったと思うけれど、とてもいい評価をもらった。「文章は稚拙だが(!)人種を超えた愛に触れている」と評価されたように思う。この僕の稚拙なレポートに感動してくれたのが、イタリア人のルカだったのだ。

映画「鉄道員」は文字通り、鉄道員という労働者階級の家族の話だ。この映画で描かれた一家とルカの家族は、共通点が多かった。お父さんは誇り高く、立派な人物なのだが、頑固一徹親父という感じで、長男、長女は、お父さんを愛してはいるのだが、鬱陶しくもあり、反抗してしまう。ただ年の離れた末っ子のサンドロだけは、お父さんが好きで、お父さんもサンドロには愛情を素直に示した。サンドロにとってお父さんはヒーローでもあったのだ。

この家族構成はルカの家族と一致している。ルカは長男で、父親に反抗して家を出たし、長女も同じだ。ただ、年の離れた弟は父親が大好きで、家業を継いだのも、この弟だ。ルカからすると、この末っ子に対する父親の愛情の注ぎ方は特別で、それもルカたちには面白くなく、素直になれなかったところだったらしい。

イタリアの家族というものは、日本以上に濃いものらしい。特に南の地方は、そのような傾向が強く、意見の相違が家族間にあったりした場合は、皿が飛んだり、手が出たりと、血の気の多い光景が普通にあるのだという。映画の家族もそうだし、ルカの家族もそうだったという。「まるでマルコッチ家(鉄道員の家族)と全く同じだったよ」とルカは言う。

映画のお父さんは、スト破りをして鉄道員仲間から孤立してしまうし、長男も長女も父親からは離れてしまう。お父さんは家にも帰らなくなってしまい、家にはお母さんと幼いサンドロだけになってしまう。

「みんな愛し合っているのに・・・どうして家族がバラバラになってしまうのだろう・・・」

映画「鉄道員」は末っ子サンドロの視点を通して描かれている。映画には一人も悪人は登場しない。皆が愛情深い人たちだ。

スト破りで離れてしまった仕事仲間たちも、お父さんを受け入れてくれるのだが、お父さんは倒れてしまうわけです。病気になってしまう。ここで家族は和解する。バラバラだった家族の心が一つになる。長男とお父さんが和解し、抱き合う場面は、「まるで僕と父そのままだった」とルカは言う。

家族が一つになった晩、お父さんはギターを弾く。静かにその音色を聴くお母さん・・・

ギターの音が鳴り止む。「あなた・・・眠ったの?」

静かに彼は亡くなっていたのだ。

家族の和解というもの、それはお父さんの人生の「やり残し」が解決した瞬間ではなかったか?だからお父さんは安らかに旅立ったのだ・・・

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