ピアノのある生活、ピアノと歩む人生

「ピアチェーレ」代表の私的ブログ

強調 

 

「ピアニストは語る」(エリス・マック著・音楽之友社)という本の中で、グレン・グールドがバーブラ・ストライサンドについて語っている。バーブラの歌い方は、どこかクラシックの偉大な歌手によるアプローチと同じようなところがあるように思う。むろん、発声ということではない。バーブラはミュージカル出身の女優であり、ポップスの歌手なのだから・・・

グールドだけではなく、クラシックの演奏家にはバーブラの熱心なファンが多いが、それはバーブラのクラシック的なアプローチということと無縁ではないだろうと思う。

演奏を魅力あるものにしている一つの要素、つまり聴いている人の耳、集中力のすべてを奪ってしまうような「何か」は、ある秘密、そして法則によって導き出されている。それは「強調」ということだと思う。素晴らしい演奏は多いけれど、後世にまで残っていくような、語られていくような演奏には、必ず「強調」がある。それは単純に強くするとか、そのようなことではなく、曲の中には、ここが訴えどころ・・・のような箇所が潜んでいるのだ。多くの演奏家は、その微妙な箇所を素通りしてしまうし、聴いている人も何も感じずに、「あら、上手ね・・・」などと思うのだが、微妙な訴えどころを微妙に強調した演奏には、まさに心を奪われてしまう。その人だけにしかできない「何か」として聴いている人の心臓を直撃するのだ。

上記の本の中で語られているグールドの言葉を引用してみようと思う。

「これだけ僕に感銘を与えた歌手は、シュヴァルツコップは例外として他にはありません。というのは、そうでない面が多々あるにせよ、ストライサンドとシュヴァルツコップの間には、確かに類似点があるからです。彼女たちは、何よりも、イタリック体の巧妙な使い手、つまり強調の妙手だと思います。二人とも思いもよらない些細な箇所、たとえばエンハーモニックの微妙な変化などに注意をひきつける傾向があり、それを慎重に、それどころか細心に考え抜いた方法でやっているに違いないのに、ふとその場で浮かんだ思いつきのように聴かせる術に長けているのです。ストライサンドの歌う時の抑揚のつけ方といったら・・・ただ、もう、信じ難いくらい、身動きできないくらい素敵です。これほどまでの感動は、人にそれがなにゆえかを語る言葉を失わせます」

kaz



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category: Barbra Streisand

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