ピアノのある生活、ピアノと歩む人生

「ピアチェーレ」代表の私的ブログ

満ち足りた時代のハングリー精神 

 

一般的には子どものピアノは小学生までと言われている。進学を理由に辞めてしまう子どもは多いと聞く。中学時代にピアノと学校生活を両立させた子も、やはり高校進学とともに辞めてしまうことが多いらしい。

子どもの数そのものは減少しているので、かつての時代のように看板を出せば生徒が集まってくる時代ではなくなった。その代わりに、昔にはなかった現象に大人のピアノというものがある。大人から始めるケースもあろうが、やはりかつてピアノを習っていて再び弾きたくなったというケースが多いのだろうと思う。多くの人(ピアノ教師)が指摘するように、大人の生徒はピアノを習うという動機がしっかりしていることが多いのだろうと思う。ピアノの難しさを自覚し、そして仕事を持ちながら、僅かな時間を見つけ、練習したりする。練習ができなくてもピアノは簡単には辞めない。

子どもがピアノを辞めてしまう理由として、学業、部活との両立の困難さが理由に挙げられるが、それはそうなのであろうが、個人的には「満ち足りた時代だから」ということも理由なのではないかと思う。今の時代、あまり生きていくのに苦労しなくなったというか、色々な物も世の中に溢れていて、心の底から熱望するような心を持ちにくい。憧れなんて持たなくても、表面上はとても恵まれているので、あえて「ピアノを弾こう」なんて思わない。中学生くらいになれば、ピアノなんて楽しいだけのものではないと身に染みているし。ピアノを弾く理由そのものが存在しなくなってしまう。上達したい、上手くなりたい、では上達して何がしたいの?どうして上手くなりたいの?この部分が幼いころから伝えられていない。そうなると、ピアノなんて弾けなくたって別に生活していくのには困らないわけだから、苦労してピアノを弾く理由なんてなくなってしまう。ハングリー精神なんて持たなくたって、成長していける恵まれた時代なのだから。

大人の場合は、それなりに人生を歩んできて、人間の幸せとは物質的なものだけではないと身に染みてくる。困難な問題も人それぞれに乗り越えてきて、心の中にポッカリと穴ができているのを感じる。この世を生き抜いていくのは、楽しいことばかりではない、苦労が多い。でも生きてこられた。でも何か足りないものがある。それを求めてやまない心がある。焦がれてしまうものがある。

それがピアノ・・・だったりするのだ。満ち足りて、満足しきっていたら、ピアノなんて再び弾こうなんて思わない。満たされない何かを埋めたいのだ。追い求めたいのだ。焦がれている心を満たしたいのだ。

中学生ぐらいの年齢、13~15歳、もちろん、それよりも幼い年齢の子どももそうなのだと思うが、大人のように「ピアノをあえて弾く理由」みたいなものが自覚しにくいのだと思う。難しい時期なのだ。「わっ、ピアノ!楽しいな!」だけでは済まなくなってきているのは分かりすぎる程自覚していると思うけれど、そして「練習しなければ」と心の隅では思っているのかもしれないけれど、そもそも「では練習して上手になったら何があるの?」の部分が伝えられていなければ、ただでさえハングリー精神の持ちにくい世の中なのだから、ピアノ・・・続けようなんてあまり思わないだろうと思う。

練習して上手になったら何があるの?

この部分を教えられるのは、ピアノの先生だけなのではないだろうか?

教えることが私の仕事、弾くことではない・・・そのような先生がいるとしたら、その先生は「ピアノを弾く理由」という意味を伝えていくのは難しいのではなかろうかと思う。先生自身が何かに焦がれ、そして追い求めていく苦しみ、そして喜びを受け入れていないとしたら、生徒には伝わらないだろうと思う。

なんで練習しなければいけないのだろう?

上達したいから・・・

なんで上達しなければいけないのだろう?

kaz



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category: ピアノ雑感

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コメント

 

いつか、は来るのかしら

今、この曲を練習しています。
ネルソン・フレイリの演奏を聴くたびに泣きたくなります。
何で、私はこんな風に弾けないのか。
ピアノの先生には「あなたが簡単に弾けるのならプロはいらない」って
笑われますが。
こんな、祈りにも似た演奏が弾ける日がいつか来るのでしょうか。

メロディを練習しているオバサン #- | URL | 2015/03/11 23:53 | edit

メロディを練習しているオバサンさま

弾ける日がいつかは・・・くるでしょう。くると思います。

人の演奏を聴いて「泣きたくなる」と感じられる感性があれば、きっと・・・

kaz #- | URL | 2015/03/12 20:05 | edit

ありがとうごさいます。
「きっと」、のお言葉を励みに頑張ります。

あ、ご挨拶もせず、いきなり書き込んですみませんでした。
どーも。

メロディを練習しているオバサン #- | URL | 2015/03/13 14:28 | edit

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