ピアノのある生活、ピアノと歩む人生

「ピアチェーレ」代表の私的ブログ

静かに暮らした人・・・ 

 

グアスタビーノのピアノ曲は、あまり知られていない。そして生涯も知られていない。

2000年まで生きた人だ。つい最近まで生きていた人なんだなぁ・・・などと思う。激動の人生というわけではなかったようだ。ナザレのように神経を病み、音が聴こえなくなり、森の中で遺体が発見される・・・というような人生ではなかった。90歳近くまで長生きした人だ。生涯独身であったという。静かに暮らしていた人・・・そのように感じる。

グアスタビーノは音楽溢れる家庭で育ったようだ。ピアノも習うけれど、大学では化学を専攻した。でも、やはり音楽家としての人生を歩むことになる。

それなりに外国でも演奏し、全くアルゼンチンの外に出なかったわけではないようだが、どこか「アルゼンチンで密やかに暮らした」というイメージがグアスタビーノにはある。それは彼の作風からくる印象なのだろうか?

晩年は生まれ故郷のサンタフェに戻るけれど、彼はずっとブエノスアイレスで暮らしていた。独身だったので、一人暮らしだったのだろう。貧しい生活ではなかったのかもしれないが、どこか質素な生活だったように感じる。

彼のアパートは32平米だったそうだ。32平米というと、畳20畳に満たない広さだ。日本の感覚だと1DKという感じだろうか?キッチンと寝室だけのアパートという感覚でいいのだろうと思う。

彼のピアノは古いアップライトピアノだったそうだ。生涯そのピアノを弾き、そのピアノで作曲した。そのアップライトピアノにはハンマーにパッドが装着されていて、つまりミュートの状態でいつも弾いていたらしい。その理由は近隣の迷惑にならないように・・・

何故か、僕はグアスタビーノがピカピカのスタインウェイを弾いていなかった・・・という事実に驚くばかりだ。別にスタインウェイでなくてもベヒシュタインや、いわゆる名器とされるグランドピアノを弾いていたわけではない・・・

彼のピアノ曲はミュート状態のアップライトピアノから生み出されたのだ・・・

32平米の部屋、そして音を小さくしたアップライトピアノ・・・

グアスタビーノのピアノ曲はここから生まれた・・・

彼のピアノ曲では「バイレシート」という曲が比較的演奏される機会があるのだと思う。個人的にはグアスタビーノのピアノ曲では10曲のカンティレーナという曲集が好きだ。どの曲も素晴らしいが、僕は5曲目の「アベラルダ・オルモス」という曲が大好きだ。

アベラルダ・オルモスとは変わった題名だが、実在した人物の名前だ。グアスタビーノの小学校時代の先生の名前なのだそうだ。その先生のことをとても尊敬していたのだろう。

32平米の部屋で小さな音の出ないピアノで作曲された、かつての恩人への愛情、リスペクトから生み出された「アベラルダ・オルモス」という曲・・・

静かに暮らしたグアスタビーノそのもの・・・という曲のようにも感じるし、グアスタビーノはとても強い人だったとも感じる。

kaz



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