ピアノのある生活、ピアノと歩む人生

「ピアチェーレ」代表の私的ブログ

アメリカのピアノ発表会潜入 

 

4月の終わりに「私・・・ピアノなんてもうイヤ」という文章を書いた。その文章に出てくるJ子さんの先生であるC先生(男性)は僕の個人的な友人でもある。彼の主催するピアノ発表会を見学したので、記憶が鮮明なうちに感想などを書いておきたい。

僕は今まで日本でピアノ教室の発表会を50ほど見学してきた。50人の先生の指導の方向性を見学した・・・ということにもなるのではないだろうか?50人という人数はピアノ教師全体の方向性を決定づけるには少なすぎるのかもしれないが、現在の日本のピアノ教室のひとつのありかたを示していると解釈してもいいのではないかと思う。その50のピアノ発表会で、集団での催し物が満載の、どこか学芸会的な発表会ではなく、個人が出てきてピアノを弾いてという「弾くだけ」という発表会、その発表会とC先生の発表会とを比較して、いろいろと考えたことを書いていきたいと思う。

C先生の発表会も、生徒がピアノをソロで弾くだけという古典的な発表会だ。C先生はウィスコンシン大学の音楽学部でピアノを教えているのだけれど、発表会には大学の学生は出演していない。プライベートで教えている生徒だけの出演だった。

日本での発表会との大きな違い、まずは年齢層がバラエティに富んでいるということ。子どもが中心という発表会ではないということ。これはあることを意味しているようにも思える。本来、ピアノの作品というものは大人のために書かれているし、ピアノライフというものは本来は大人のためにあるものなのだ。子ども時代のピアノ修行(?)というものは、その実りある成長してからのピアノライフのための導入なのだと僕は思う。そう考えれば、13歳~15歳あたりでピアノを辞めてしまうというのは本来だったら実にもったいないことでもあるのだ。「大人のピアノ」とわざわざカテゴライズすることそのものが本来はおかしいのではないかと僕は思う。ピアノは本来は大人のためのものだから。

もう一つは、特に子どもの演奏した曲で思ったことだが、キャッチ―な曲が皆無だったということ。ここでの「キャッチ―」という意味は、音楽的経験の少ない子どもが飛びつくポップスであったりアニメの主題歌の編曲であったり、子どもの身近な(?)感性に寄り添う教材からの選曲であったりとか・・・そのような選曲がなかった。習い始めて半年、音符が読めるようになったね・・・という子どもでさえ「芸術作品」を演奏していた。

C先生は言う。「子どもというものは感性が無限大なのだけど、残念なことに音楽的経験が少ない。弾くという意味でも聴くという意味でもね。まぁ、曲を知らないということになると思う。なので、身近なキャッチ―な曲に興味を示すんだ。教師の役目は、その子どもの現在の感性を伸ばして成長させることだから、いくら子供がキャッチ―な作品に興味を示しても、やはり偉大な芸術作品を弾かせるべきだと思う。いわば、子どもの現在だけではなく将来のことを想定する義務が教師にはあると思う」

「でも・・・習いたての子どもと芸術作品は結びつかないこともあるのでは?」

「そこだよね。ある程度修業しないと、本当のピアノの芸術作品には触れることはできないよね」

「ではどうしたら?」

「教師が編曲すればいいと思う。ピアノの作品だけではなく、他の多くの楽器の作品を教師が編曲すればいい。そうすれば本当の導入期から芸術作品に触れられる。子どもは目を開くよ」

「編曲?でもピアノ教師全員がそのような能力があるとは限らないのでは?」

「僕は音楽院なんて経験していないよ。ピアノは独学ではないけどセオリーなどは独学だ。それでもできているんだ。ピアノ教師の多くは音楽院(音楽大学)を経験しているのだから、編曲や自作の教材の作成はできて当たり前だろ?そのための専門機関なんだから・・・」

発表会で一番最初に演奏した男の子は、まだピアノを習って半年という、日本でいえば小学1年生の子だった。やっと音符や楽譜の仕組みを理解し始めたところなのだそうだ。C先生は、この男の子にフェルナンド・ソルのギター練習曲を編曲したそうだ。メロディーを生徒が弾き、アルペジオをC先生が弾いた。このようにすれば、本当の導入期からソルという偉大な作曲家の作品に触れられるのだ。

その男の子はソルの作品に実際に触れた時、このようにC先生に言ったのだそうだ。「先生、この曲・・・なんだか空みたいな色の曲だね」と。

僕は、この小学1年生と男の子とC先生との連弾を聴きながら、この男の子は将来、ピアノを辞めることがあっても、音楽とは一生離れないだろうな・・・と思った。

kaz

ソルのギター練習曲・・・空色の曲・・・



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