ラヴェルはお洒落
「この曲はいい曲だね、なんという曲なのかね?」
ラヴェル自身が「亡き王女のためのパヴァーヌ」を聴いた時、こう言ったらしい。晩年、ラヴェルは記憶障害に悩まされていた。現在では認知症と診断されるのかもしれない。自分が生み出したという記憶は落ちてしまっている。でもその美しさは感じることができる。なんと哀しく、切ないエピソードだろう。
「亡き王女のためのパヴァーヌ」に限らす、ラヴェルの主要な作品の初演者、またドビュッシーの作品の多くの初演者、それがリカルド・ヴィニェス。相当なピアニストだったと想像できる。
グラナドスは「ゴィエスカス」の3曲目、「燈火のファンタンゴ」をヴィニェスに献呈している。この曲もまた3段譜満載の至難曲である。グラナドスとしては、むろんヴィニェスの腕前というところも考えての献呈だったと思うが、同じスペイン人というところもあったのではないかと想像する。誇り高きカタルーニャ人・・・
ラヴェルはスイス人とスペイン、バスク人の両親を持つ。ラヴェルの血にはスペインの血が流れていた。ラヴェルのスペイン風の曲、例えば「道化師の朝の歌」(この曲もヴィニェスが初演している)などを聴くと、なんだか怪しいまでの魅力を感じてしまう。わぁ、スペインっぽい・・・以上の魅力。たしかに、ラヴェルのピアノ曲は精巧なスイス時計とラテンの魅力が合体したような魅力がある。でもルーツ以上の何かを感じる。
パリ郊外のモンフォール=ラモーリーという街(村?)にラヴェルが晩年暮らした家があり、それがラヴェル博物館となっている。非常に古風なピアノなども飾られているが、調度品の趣味はラヴェル自身のものだとすると(そうだと思う)、非常にラヴェルという人はお洒落さんだったように思う。写真などでもパリッとスーツをパリ風に(?)着こなしている。絶対にラヴェルという人はコロンなども愛用していたはずだ。
部屋が乱雑そうな作曲家、偏見に満ちた想像だが、ベートーヴェンのピアノ部屋など散らかっていたのではないかと。あくまでもイメージだが。楽譜などもきちんと端をそろえて・・・なんてことはなく、ピアノの上に目茶目茶に積まれていて、その山が崩れてもベートーヴェンは気にもしなかった・・・みたいな?逆にラヴェルは、きちんとしていた。お洒落さんだから。鉛筆なども、いつもきちんと削られていて、方向も揃っていて、色別に整理されている。引き出しの中も整然といつも片付いている・・・
ラヴェル博物館を訪れた時、ラヴェルの部屋、ラヴェルの庭園を観た時、僕が感じたのは「ラヴェル、あなたはゲイだったのですね?」ということ。すべてがとてもゲイっぽかったです。
ラヴェルは生涯独身を貫いた。また、ヴィニェスも独身を貫いた。この事実から、二人は心のパートナーだったのかもしれないと。「道化師の朝の歌」のある意味での性的なまでの妖艶さは、二人の関係にも関連しているのではないか?
ただ日記などから、そのことを裏付ける文章などは一切発見されなかった。作曲家=偉人であるのならば、ラヴェルが同性愛者という想像は御法度なのかもしれないね。でも当時は、フランスでも同性愛者などとんでもない時代であったし、二人とも有名人であったから、自分の死後は私的な手紙やら日記などは調べられてしまうのは分かっていたと思う。手紙、日記への記述内容には相当慎重になっていたはずだ。
でも、このような私的なことは闇の中・・・それが美しいと思う。
ラヴェル博物館、パリを訪れるのだったら、ぜひ立ち寄って頂きたいところだが、美しさ以外には何もない(?)場所だ。電車で行くと、駅から1時間は歩くらしい。是非レンタカーで。また、フラッと訪れても中には入れない。事前に予約が必要。日本語は通じないけれど、英語は通じます。
誇り高きカタルーニャ人、やはり演奏はスペインものがよろしいかと。
kaz
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ラヴェル自身が「亡き王女のためのパヴァーヌ」を聴いた時、こう言ったらしい。晩年、ラヴェルは記憶障害に悩まされていた。現在では認知症と診断されるのかもしれない。自分が生み出したという記憶は落ちてしまっている。でもその美しさは感じることができる。なんと哀しく、切ないエピソードだろう。
「亡き王女のためのパヴァーヌ」に限らす、ラヴェルの主要な作品の初演者、またドビュッシーの作品の多くの初演者、それがリカルド・ヴィニェス。相当なピアニストだったと想像できる。
グラナドスは「ゴィエスカス」の3曲目、「燈火のファンタンゴ」をヴィニェスに献呈している。この曲もまた3段譜満載の至難曲である。グラナドスとしては、むろんヴィニェスの腕前というところも考えての献呈だったと思うが、同じスペイン人というところもあったのではないかと想像する。誇り高きカタルーニャ人・・・
ラヴェルはスイス人とスペイン、バスク人の両親を持つ。ラヴェルの血にはスペインの血が流れていた。ラヴェルのスペイン風の曲、例えば「道化師の朝の歌」(この曲もヴィニェスが初演している)などを聴くと、なんだか怪しいまでの魅力を感じてしまう。わぁ、スペインっぽい・・・以上の魅力。たしかに、ラヴェルのピアノ曲は精巧なスイス時計とラテンの魅力が合体したような魅力がある。でもルーツ以上の何かを感じる。
パリ郊外のモンフォール=ラモーリーという街(村?)にラヴェルが晩年暮らした家があり、それがラヴェル博物館となっている。非常に古風なピアノなども飾られているが、調度品の趣味はラヴェル自身のものだとすると(そうだと思う)、非常にラヴェルという人はお洒落さんだったように思う。写真などでもパリッとスーツをパリ風に(?)着こなしている。絶対にラヴェルという人はコロンなども愛用していたはずだ。
部屋が乱雑そうな作曲家、偏見に満ちた想像だが、ベートーヴェンのピアノ部屋など散らかっていたのではないかと。あくまでもイメージだが。楽譜などもきちんと端をそろえて・・・なんてことはなく、ピアノの上に目茶目茶に積まれていて、その山が崩れてもベートーヴェンは気にもしなかった・・・みたいな?逆にラヴェルは、きちんとしていた。お洒落さんだから。鉛筆なども、いつもきちんと削られていて、方向も揃っていて、色別に整理されている。引き出しの中も整然といつも片付いている・・・
ラヴェル博物館を訪れた時、ラヴェルの部屋、ラヴェルの庭園を観た時、僕が感じたのは「ラヴェル、あなたはゲイだったのですね?」ということ。すべてがとてもゲイっぽかったです。
ラヴェルは生涯独身を貫いた。また、ヴィニェスも独身を貫いた。この事実から、二人は心のパートナーだったのかもしれないと。「道化師の朝の歌」のある意味での性的なまでの妖艶さは、二人の関係にも関連しているのではないか?
ただ日記などから、そのことを裏付ける文章などは一切発見されなかった。作曲家=偉人であるのならば、ラヴェルが同性愛者という想像は御法度なのかもしれないね。でも当時は、フランスでも同性愛者などとんでもない時代であったし、二人とも有名人であったから、自分の死後は私的な手紙やら日記などは調べられてしまうのは分かっていたと思う。手紙、日記への記述内容には相当慎重になっていたはずだ。
でも、このような私的なことは闇の中・・・それが美しいと思う。
ラヴェル博物館、パリを訪れるのだったら、ぜひ立ち寄って頂きたいところだが、美しさ以外には何もない(?)場所だ。電車で行くと、駅から1時間は歩くらしい。是非レンタカーで。また、フラッと訪れても中には入れない。事前に予約が必要。日本語は通じないけれど、英語は通じます。
誇り高きカタルーニャ人、やはり演奏はスペインものがよろしいかと。
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2017/07/11 Tue. 12:42 [edit]
category: リサイタル 2018
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